・交響曲第8(9)番ハ長調「グレイト」
~シューベルト交響曲全集より
リッカルド・ムーティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1986年、ムジークフェラインザール、デジタル録音)
ムーティの録音の中でも大変美しく
また、格好良さが上手く融合された一枚と思います。
第1楽章のホルンの冒頭からして、実に雄大。
楽章終結部のティンパニの強打も、
大見得を切り、ムーティ節全開といったところ。
中間部のWphの美しさも素晴らしく、
よく「ムーティは強引」といわれますが、決してそんな事は感じません。
むしろ、Wphからシューベルトの歌心を巧みに引き出し、
ダイナミクスの指示と時折みせる「大見得」がバッチリ嵌っています。
第2楽章も本当に見事で、木管の駆け引きが素晴らしい。
また、ドイツロマンを湛える箇所に歌い方の見事なことといったら!!
スケルツォでの圧巻は長大なトリオの部分。
じっくりとテンポをおとし、段々と盛り上げていく手法は
まさにオペラ指揮者・ムーティの真骨頂でしょう!!
フィナーレでは、それまでのいいところの集大成。
シューベルトの歌と、イタリア人ならではの歌のコラボ!!
といっていいでしょう。
コーダでの見得の切り方など最高ですし
ウィーン・フィルも見事なまでの美音で応えています。
ムーティは、よくアウフタクト指揮者、といわれますが
それが見事に嵌った曲なのかも知れません。
格好良すぎる!!
なお、当演奏では、3楽章のトリオ手前とフィナーレで
それぞれ繰り返しを実施しており、演奏時間は約60分と長大です。