人生どうらく日記
ブラームス

・交響曲第3番

・ハイドンバリエ

クラウディオ・アバド指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(1989年ベルリン・フィルハーモニーホール/デジタル録音)


ベルリン・フィルがアバド体制となって以後、

はじめて来日したのが1992年のことです。

プログラムは、

大阪ザ・シンフォニーホール

ヴァイオリンにヴィクトリア・ムローヴァを迎えて

オールブラームスプログラムによる

・ハイドンの主題による変奏曲

・ヴァイオリン協奏曲

・交響曲第3番

です。(東京では3・4夜かけてブラ全だった記憶があります)


この頃高校生だった私ですが、

親にだめもとで「ベルリンフィルっていう凄いのが来るねんっ」

って言うと「それならチケットを買ってやろう」となりまして・・・


親父は学生時代にクラシックギター部をやっていましたので

カラヤンとウィーンフィルやベルリン・フィルぐらいの単語は知っており、

チケットが高いぐらいの予想はついていた様子です。

実は、88年の(←まだ中学生の頃)カラヤンとの最後の来日公演も大阪公演がありました。

しかし、中学生にとってはべらぼーに高いチケット代を見て

自分自身で勝手に諦めた経緯もあり、「今度こそ」とお願いをしてみたのがきっかけです。



そんな経緯もあった当公演、

本当はブレンデルによるピアコン1番&ブラ1を聞きたかったのですが

そちらはチケット争奪戦に敗れ、辛うじて入手できたのであります。

それでも朝8時にチケットセゾン店舗にて「オカン」に並んでもらって、です。

価格は忘れましたが、S席(←しかもうなかった)3万円弱だったと思います。


時代はバブル景気の余韻が残っていたとはいえ、

よくも、そんな小僧っ子の趣味に、

両親も出費してくれたものです。


勿論、生まれてはじめての生BPOだったのですが、

その時の感想として、

ベルリン・フィルの分厚い弦楽器の響きに圧倒されたこと、

ブラ3がこんないい曲っだったとは、

と思ったこと、そして

ブラ3の最後のコーダの部分で

ソロホルンがとちってしまったのですが

「天下のベルリン・フィルでも間違うことがある」

と、なんとも素人というか子供な発想の思い出があります。


それ以外の細かいところは、本当に終始舞い上がってあまり覚えていません。

なにしろ20年ほど前の話ですから・・・。


前置きが長くなりすぎましたが、

上述のように思い入れがありすぎる当盤。

いわば、思い出のブラ3、と言っても過言ではないでしょう。。。


第1楽章冒頭の弦と管の絶妙のハーモニーとスピード感なんかは

前任者を彷彿させるところもありますが、

そればかりでなく、弾むリズム感なんかは、アバド特有のセンスを感じます。

第2楽章の低弦の豊穣な響き

第3楽章の主題のソロ奏者の上手さは流石です。

しかし、圧巻はフィナーレで、

主題の部分でのティンパニの叩き方と、それに絡む金管の浮かびあがらせ方や

チェロの朗々とした表情付けなどはイタリア人アバドの面目躍如たる部分です。


実演では気付きませんでしたが、

当時はまだ、カラヤンサウンドが十分に残っており、

その華麗で分厚い響きと、

アバドならではの歌心が絶妙にブレンドされた響きだと思います。

今では聴けなくなってしまった当時のBPOならではの音です。


残念ながら、その後のベルリン・フィルは

この当時とサウンド自体は大きく変貌を遂げ

良くも悪くもより現代的でグローバルなサウンドとなっていくのですが・・・。

(野球にたとえると、NYヤンキースっといったところでしょうか)


ブラ3というと

誰がなんと言おうが、この盤が真っ先に思い浮かびます。