Memento mori         Carpe diem

 

ラテン語のMemento Moriは

人に訪れる死を忘ることなかれ

 

メメント(memento)=「思い出せ」という命令形
モリ(mori)=「死」

 

この言葉は時代の変遷と共に違う解釈がされてきた。

 

 

古代ローマ

 

古代ローマでは戦に勝利した将軍が凱旋パレードを行う際、家来に「メメント・モリ」と民衆に向かって言わせ、「今日は勝利したが、明日はどうなるか分からない」ということを思い出させる警句として用いられていた。

 

中世

 

また中世の修道院ではあいさつの言葉でもあった。

もともとはこの後にカルぺ・ディエム

(Carpe)= 摘めと言う命令形

(diem)= 日

(その日一日の花を摘め、今を生きよ)と続いていた。

何気なく過ぎゆく毎日のことを花畑の花にたとえて、

その一本一本を愛おしむように日々を愛すべしと続いた。

 

矛盾するような二つは、実は根底に同じことを表現している。

やがて消えゆく命だからこそ、今を楽しめ。

ローマの詩人、ホラティウスの詩の中の言葉である。

 

 

消えゆくものであると覚悟することで、

なお一層輝きを増す命

はかないからこそ美しくせつない。

 

Carpe Diem

シラク元大統領のお気に入りシードルとして

1997年以降エリゼ宮殿の公式飲料としてセラーに常備されている

 

中世末期以降

 

しかし中世末期のヨーロッパで起こったペストの大流はロシアにまで達し、西欧の総人口の4分の1以上の命を奪ったとされ、「メメント・モリ」は、死は誰にも平等に訪れることを忘れるな、との教訓になって行き、人々が恐れた死のイメージを表現する言葉になった。

 

 

ローマの教会の墓地にある壁画に描かれた羽のある骸骨

 

 

HODIE MIHI CRAS TIBI (ホディエー・ミヒ・クラース・ティビ)
hodieは「今日」を意味する副詞。

mihi は「私」を意味する1人称単数の人称代名詞 。
cras は「明日」を意味する副詞。
tibi は「あなた」を意味する2人称単数の人称代名詞。


「今日は私に、明日はあなたに死が訪れる」
墓碑銘の言葉として当時(16世紀から19世紀)良く使われた。