とらたび〜世界一周西遊記〜 -4ページ目

とらたび〜世界一周西遊記〜

大学1年休学して、世界一周の旅に出ています。
現在10カ国目エジプト!

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ウガンダの首都、カンパラの道ばたに、子どもが座っていた。

丸坊主で、薄汚れた服を着た、裸足の子ども。
無表情に両手を前に出して、お金を求めていた。

それを見て、おれはなんとなく、一緒に座ってみようと思った。

一応、座っていい?というジェスチャーをして、となりに腰をおろした。

近くのスーパーで買った大量のポップコーンがあったので、一掴みその子に差し出した。
その子は、無表情のままそれを食べた。

うまい?と聞いても、反応はなし。

その子が食べきったので、またポップコーンを差し出すと、同じように無表情のまま食べる。
おれも一口食べる。
二人で道行く人をぼーっとながめながら、それを繰り返す。

ひとりで座ってたから、親はいるのか気になって、
「mother?」と聞いたけど、通じない。

しばらくポップコーンを一緒に食べていると、まわりの人や通行人が珍しいものを見る目で見つめてくる。
中には、指をさして笑っている人もいる。

その中の、謎のおっさんが陽気に声をかけてきた。

「この子は貧乏なんだ!ウガンダには、この子みたいな子どもがいっぱいいる!ウガンダは貧乏な国なんだ!お前の国はどこだ?」
「日本。」
「おお、知ってるぞ、すごくリッチな国なんだろう?」
「そうかもしれない。」
「日本には、こういう子どもはどれくらいいるんだ?」
「ほとんどいないよ。」
「なんだって?うそつけ!」
「本当だよ。」
「信じられない。」
そういって、どこかへ行ってしまった。

しばらくすると、おれと子どもの写真を撮る人があらわれた。
それにつられて、だんだん人が集まってくる。

「何をしているの?」
「座ってるんだ。」
「その子を助けているの?」
「ちがうよ。一緒に座って、ポップコーンを食べてるだけ。」

今度はヘラヘラしたおっちゃんが、
「おれにもポップコーンくれよ、マイフレンド!」
「やだよ、おれお前の友達じゃねえもん。」
「じゃあなんでその子にはあげるんだよ?」
「友達だから。」
「友達なのか?」
「うん。おれが決めただけだけど。」

まわりにいた人に、「この子のお母さんはどこにいるか知ってる?」と聞いてみた。
あっち、と言って、女の人が指をさす。
お母さんも、車道を挟んで反対側の道ばたに座っている。
「hisじゃなくて、herよ。」
えっ、女の子だったの⁈
そういえば、よく見るとワンピースの様な服を着ている。
すまん。
「この子名前なんていうの?」
「サイモン。」
へー

人はどんどん集まってきて、歩道をふさぐくらいの人だかりができた。
みんなおれとサイモンを見つめている。何人かは写真を撮っている。
サイモンはちょっとビビっている。
中には警察もいる。
おれもビビる。

ひとりの女の人が、サイモンの差し出し続けている両手に、コインをひとつ落としていった。
サイモンはそれを、胸ポケットにいれる。

おれは、あることを思いついたけど、やるか迷った。
でも、せっかくだから少し、サイモンの力になろうと思った。
正しいのか間違ってるのかわからないけど。

「Please give her money.」

まわりの人たちの顔が、少し困ったふうになった。

少し間があって、その中のひとりが、コインを渡してくれた。
それからまたひとり、またひとり。
おれは、満面の笑みで「Thank you very much!」

渡してくれる人の中には、握手を求めてきて、「I like you.」と言ってくれる人もいた。

よし、もういっちょ。
「Please give her money.」

すると、
「あなたがあげなさいよ。」
輪の中にいた女の人が言った。
「え、うーん、ノー。」
「どうして?」
うーん、どうしてだろう?
「えーと、ただの友達だから。」

「日本に連れて帰りなさいよ。そうすれば、その子は幸せよ。」
「あー、ノー。」
「どうして?」
うーん、どうしてだろう?その気になれば、できないことはない。気がする。
「えーと、この子には家族がいるから。」

とは答えたものの、胸になにかがつまったまま。

その後も何人かがコインをくれた。
サイモンの胸ポケットはコインで丸々とふくらんだ。

そのうち、まわりにいた人々はだんだんと少なくなり、やがていなくなった。

囲まれててわからなかったけど、空はいつの間にか、夕焼けでオレンジ色に染まっていた。

おれとサイモンはまた、2人で道路をながめながら、かすかに残ったポップコーンを最後に分け合って食べた。

サイモンは食べ終わると、また両手を前に差し出した。

おれはサイモンの肩を抱いて、

「じゃあ、またね」と言った。
通じるわけないのに、サイモンはなぜかこくんと頷く。
「がんばれよ。」
こくん。
「ありがとう。」
こくん。

そうして、その場から立ち去った。

サイモンは、最後まで笑顔を見せなかった。


あとで、あ、おれもコインあげればよかった、と少し後悔した。

正しいかとか、間違ってるかとかはいまもよくわからないけど、

ストリートチルドレンと一緒に座ってポップコーンを分け合ったその30分間は、
おれにとってかなり心を揺さぶられた、とてもとても濃い時間だった。

おわり。