写真の中の・・・後編 | にゃんこと見る夢

写真の中の・・・後編

広島から帰り、いつも通りの日々が戻ってきた。

毎日カレーを仕込み、お客さんが来てくれての

お店中心の毎日。

1週間休んだ後の客足とかが心配だったけど

変わらず戻ってきてくれて一安心。

ちょっと怠けていた身体に少々キツさを感じながらも

お店って楽しいな~と改めて思った。


ある日のこと。

「あら、いらっしゃい!」

広島の叔母達がお店に来てくれた。

「先日はどうも」と言いつつも、叔母の目は笑っていない。

他の人もどこか不審な態度で、よそよそしい。


「来年、結婚するって聞いたんだけど、

式は田舎でやるの?」

カレーを半分食べ終わったところでスプーンを置いた叔母が

私にそう聞いてきた。

「はい。喪が明けたら、そのつもりですが

みなさん何かご都合でも悪いですか・・・?」

「・・・別に何も・・・。そう・・・。」

叔母は目をそらして言う。

「カレーお口に合いませんでしたか?」

私が聞くと叔母はあわてて

「う、ううん、そうじゃないのよ。最近胃の調子が悪くて。

おいしいんだけど、あまり量が食べられないの」

コップの水を1口飲んでやはり目をそらす叔母。

「そうなんですか。お大事になさってくださいね」

まだお店が混んでる時間なので、

軽く会釈して私はその場を離れた。


それからも広島の親戚が数人

入れ替わり、立ち代りやってきた。

みんな一様に何かよそよそしい。


「私、親戚の人達に嫌われちゃってるのかな・・・?」

ある日彼に胸に溜まったもやもや感をぶつけてみた。

「そんな事はないだろう。

でも俺にもなんだか他人行儀なんだよな。

なんでだろ?」

彼も何かみんなの態度がひっかかるようだ。


そしてまた数ヶ月経ち、年が明け、

あと数日で結婚式となった時に、叔母が訪ねてきた。

ものすごく数ヶ月の間に痩せた叔母。

この前言ってた胃の痛みはそんなにひどかったのかしら?

こっちで病院でも紹介してあげれば良かったかな・・・。

私がそんなことを考えていると、叔母は泣き出した。

「どうしたんですか?どこか痛むんですか?」

近寄った私の手を握り

「違うのよ・・・違うのよ・・・ごめんなさいね・・・

ごめんなさい・・・」

叔母はただただすすり泣くだけだった。

結局何も話をしないまま叔父が迎えに来て帰って行った。


「叔母さん、何が言いたかったのかな?

何かあったのかな?」

彼も首をかしげる。

「悪い病気とかで余命宣告受けたとか・・・」

「いやね!縁起でもない!そんなことないわよ!」

私は否定したけど、そうなのかな・・・とも思ってしまった。

それくらい叔母は生気の無い顔をしていたのだ。


そして迎えた結婚式当日、

空は青く、田舎の空の青は本当にキレイな青だった。


式の前から泣いている親族がいる。

叔母も泣いている。早くない?

そんなにみんなが感激するほど、私達何か感動的なこと言った?

普段オシャレしないから、化けた私に感激したのかしら?

とかのんきなことを考えていた。


式はスムーズに進行し、披露宴となった。

乾杯の挨拶を叔父がしようとした時だった。

「もう・・・もう止めましょう!!黙っていられないわ。

この人達がいなくなるなんて、耐えられない!!」

叔母が泣き叫んだ。

周りの人も一斉に泣き出す。

なんなの?これは??


「・・・ごめんなさい。この地方には言い伝えがあって

20年に一度、結婚したカップルが神隠しにあうの。

・・・今年が実はその年で、だから誰もここの人たちは結婚しないの。

でも誰も結婚しないと無作為に1組が突然いなくなるのよ・・・。

・・・だから、だから言えなくて・・・ごめんなさい」

そんな事ってありえるの?

あまりの衝撃の告白に私と彼は絶句。

披露宴の会場ですすり泣く声だけが聞こえる。

こんなのってアリ?

今から披露宴止めてもどうにもならないの?

彼の顔を救いを求めて見つめる。

彼は呆気にとられた顔から次第に怒りに変わり

「そんな!どうなってるんだ!!今までそんな話聞いたこと無いぞ!!ウソだろ!?」


「・・・いいえ、嘘じゃないのよ。

この前のおばあちゃんの葬儀の時の写真、見せてあげるわ」

叔母が写真を持ってきた。

「あ、見つかったんですね」

こんな時に間の抜けた発言をしてしまう私。

「ごめんなさい。わざと隠していたの。

見せられなかった理由があったの・・・」


叔母は写真を指差す。

「この人知ってる?」

おばあちゃんの棺のそばに立って写っている人は、

先日彼が知らないと言っていた人だ。

「・・・いや」

彼は不信感と怒りを隠さずに答える。

「この人は私の弟よ。あなたの叔父に当るわ。

今から40年前神隠しに遭った・・・」

「こっちに写っているのはあなたの従姉妹。

やっぱり20年前にいなくなったのよ・・・」

別な写真を指差す。


「どこかで迷っているのか、時々こうして写真に写りこむの。

でもどこにもいない。実際には存在していない・・・」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺達はどうなるんだ!!

いつ消えちまうんだ!誰か何か教えてくれ!」

彼は一人一人親族に向かって問いかける。

「おい!俺達はどうなるんだ!!」

誰も目を合わせない。


「誰か助けてくれよ!!」

彼の叫びはいつしか泣き声に近くなっている。


「もういいよ」

私は静かに彼に近づいて言った。

彼も泣いている。

「私はあなたと一緒にいられるなら、どこでもいいわ。

もうそうなる運命なんでしょ?」

彼の背中をなでる。

小さい声で彼がごめんと声にならない声で言っているのがわかる。

「いいのよ。ずっと一緒にいましょう」


「今日ご列席いただいた皆様。ありがとうございます。

私達は今までのみなさまのご恩をお返し出来ないかもしれません。

でも、私達はみなさまを恨んだりはしません。

だから私達の事を忘れないで下さいね」

泣いて泣いて泣き過ぎて、目の前が見えなくなった時、

周りの人達が忽然と消えた。


「・・・誰もいない・・・」

私がそうつぶやくと、彼が顔を上げた。

「・・・!!」

会場にいるのに、周りの人だけがいない。

隣の部屋も廊下もいない。


「神隠しってこういうこと・・・?」


探し回っても誰もいない。

とにかく動きにくいから、服を着替えようと更衣室に行った。


「・・・あ!!」更衣室の鏡には人が映っている。

誰もいないのに?

彼を呼びに行こうと思ったら、ドアを開けたら彼がいた。

「鏡には・・・人が・・・!」

彼も気づいたらしく、急いで走って私に知らせようとして

息が切れているのと、説明できない状況に言葉が途切れる。


どうやら私達が消えたのだ。

鏡の中に。

向こうには見えていないみたいだけど。


「あ~いたいた」

のんきな声がする。

「!!あなたは・・・!」

さっきの写真に写っていた叔父さんだ。


「今年は来る年だからと見てたんだよ。

みんなも待ってるから着替えておいで」

「あの・・・でもっ・・・!」

「いやいや説明すると長くなるから、

まぁまず着替えてからにしようや」

「はぁ・・・」


私と彼はそれぞれ更衣室に戻って着替えた。



「私が誰かは向こうで聞いてきたね?

40年前にこっちに来たから初対面だもんなぁ~」

叔父さんが愉快そうに話す。

「こっちの世界は『神隠し』なんちゅう怖い世界とは

すこぉし訳が違うんだよ。なんつったかの~平行世界とか言ったかなぁ」


パラレルワールド!

SF小説では出てくるけど、そんなもん本当に実在するの??


町の様子は確かに今まで見ていた景色のまま。

違いと言えば、人が少ないくらい。


「ここの世界は言わば『ノアの箱舟』みたいなもんなんだよ。

向こうの世界が環境破壊だの、地震だのと

絶滅の恐れがあるらしい。

その時のために神様か誰かがこっちの世界を作ったらしいんだよ。

詳しいことはわからないけどな。

でもここはいいぞ。みんな親切で穏やかだ。

自然災害が向こうの世界であっても、こっちではない。

人間が少ないけど、争いもないし、さびしいこともないぞ。

向こうの世界の様子も見られるしな」


・・・・・wake up・・・・・


久々に続き物の夢を見ました。

相変わらず、何でこんな夢を見るのか理由がわかりません(苦笑)