序章
数日前、インターネットで目にした記事。
最近ネットを騒がせているビッグモーター。
ここでは、社員に自社の商品を購入させていたらしい。
ビッグモーターは中古車販売の大手として名を馳せた企業。
そうなると、社員に購入させていた自社商品も「車」ということになる。
この記事を見て、10年前の記憶が急に蘇ってきた。
私自身も、全く同じ被害に遭っていたからだ。その時の記憶を辿ってみたい。
10年前の記憶
10年前、私は、都内の不動産管理会社に勤務していた。
そこから、某県に本社のある住宅メーカーへ転職した。転職理由は2つ。
【理由ひとつめ】
当時付き合っていた彼女(現在の妻様)と結婚を視野に入れた場合に、もっと給与水準の高い会社へ転職したかった。
【理由ふたつめ】
当時、最もお世話になっていた上司が在籍しているグループから、別のグループへの異動を命じられたこと。
住宅メーカーでは、職種は営業職だった。
私は当時、住宅メーカーの営業職というものを非常に甘く見ていた。というよりも、あまりにも無知だった。
面接も含め、4回か5回、某県の本社へ新幹線で足を運んだ。採用手続き以外にも、直属の上司となる営業部長への面談も申し入れ、職場環境や具体的な仕事環境などを聞いた。
だが、このブラックな職場環境の役職者が、本当の会社の内側を素直に言うわけもなく、耳障りの良い言葉を並べ立てられ、私もそれを真に受けて喜んでいた。だから、今思えば、無知であった私自身の愚かさが当時の一番の罪であった。
就業時間は11:00から20:30の9時間30分。休憩時間として90分与えられている形だ。そして給与は総額で30万円を超えていた。手取りで数えても前職の総額と同じ程度だったので、給与だけで言えばレベルアップしていた。
その好待遇をエサに、まんまと引っかかった獲物が私というわけだ。
純粋な営業職というものを経験してこなかったこともあり、イマイチ営業職の実態を理解できずにいた。
人事担当者との会話
採用手続きで本社に訪問したとき、人事担当者との間でこんな会話が交わされた。
※人事担当者=担)
担)先日郵送でご自宅宛に採用手続書類一式を送りましたが、書類は揃えていただけましたか?
私)持ってきました。確認をお願いします。
担)はい、では確認します。・・・・(書類を全て確認した後)・・・・
はい、書類の方は大丈夫です。早くに用意していただき、本当に助かりました。
私)いえ、とんでもないです。転居先も決まったので、準備としては概ね済んだと思います。
担)そうですね、まぁ~営業のお仕事なので、ほとんど車の運転が仕事のメインになって大変かと思いますけど、がんばってくださいね!
私)そうですよね。車の運転については、免許を取って以来初めての実車走行になるので、まずはぶつけないように安全運転でがんばりたいと思います。
担)まさにその通りですね。営業のお仕事は、車でお客様のところへアプローチをかけに行って契約を獲得するのが本業ですからね。まぁ、社用車ではなくご自身の車で運転していただくので、ある意味気楽だと思いますがね(笑)
私)そうで・・・・・
・・・ちょっと待ってください?
・・・ご自身の車?
我が耳を疑った瞬間であった。
担)そうですが・・・あの、どうされました?
私)はぁ~・・・(魂が抜けかかっている。そして「『そうですが』じゃねぇよ」とも思ったで
担)あれ?・・・私が上司から聞いた話だとtorao596さんは、K営業部長と一度話をされているんですよね?そこら辺の話は、もう済んでいるんじゃないんですか?
私)えっ・・・仰る通り、K営業部長と話はしましたけど、営業を車で回るとは聞いていましたが、「自家用車で」という話は一言も出なかったですよ。
担)あれっ・・・おかしいなぁ~?(今思えば、担当者のこの言い方もかなりムカついた)
じゃあ、情報の行き違いがあったんですかね~・・・いずれにしても、営業の方はみなさん自家用車で出られていますので、torao596さんもそのように仕事をしていただくことになるかと思います。
私)社用車で貸出とかはしてくれないんですか?
担)当社では、それはやってないですね~。営業の皆さんは、全員自家用車で走っていただいています。torao596さんも、自家用車はお持ちなんですよね?
私)いや、お持ちじゃないですよね(怒)
東京で車なんて持っていたら、かえって邪魔なんですよ。前職での営業先へは電車やバスで行った方が逆に効率的で、車だと駐車場代もバカにならないんですよ。大体、自家用車で営業に回るなんて話は、今が初耳なんですけど・・・。
担)そうですか~。いやぁ~、それは説明不足で申し訳ありませんでした。ただ・・・すみません、お車だけはどうしてもご自身で用意していただかないといけないんですよ。
私)・・・・・それは、出社日までに準備できていればいいんですね?
担)もちろんです。ご出社も自家用車で来ていただくようになりますので、それまでにご準備いただければ結構です。
私)わかりました。何とかします。←この返事をすることがいかに愚かであったかを、当時はまだ理解できていなかった。
後日談・・・
・・・結局、ローンを組んで、総額50万円程度の中古の軽自動車を購入してしまった。この時、本当であれば、「こんな非常識な会社なんて、こっちから願い下げだ!!」くらいの気持ちで突っぱねるべきだった。それをせず、あっさり会社の意のままにアクションしてしまった自分を悔やみ抜いた。
この会社には結局3ヶ月程度しか在籍していなかった。
退職する直前に、同じ部署にいた年配のベテラン社員がこっそり教えてくれた話だが、どうやら会社を設立してから何度も労働基準監督署による査察が入っているらしい。つまり、ブラック企業へのレギュラー入りを何年も前から果たしていたわけだ。
それを入社前に聞いてさえいれば・・・入社しなかったかもしれない。
しかし、私のポンコツな頭では、そのような情報を事前に入手していたとしても、果たしてその通りの判断をしていたかどうか・・・
最後に
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
この住宅メーカーでの就業環境についても、いつか記事として書こうと思っています。
是非、また足を運んでみてください。
torao596





