「矢野全員野球」の集大成を見せつける。逆転Vへ必勝を期すきょう26日の最終・中日戦に向け、矢野監督は25日の練習前にナインの前で訓示。「甲子園決勝」の覚悟で、チーム一丸で有終の美を飾ることを誓った。


「健斗(糸原)もそんなことを言っていたけど『甲子園の決勝』みたいな、なんか、そんな感じでね。ラスト1試合を戦うことになると思う」


あいにくの冷たい雨で、室内で行われた全体練習。ただ、チーム内に漂う熱気、一体感は揺るぎなかった。その一例が、指揮官が例に出した糸原の発言。「アイツはいつも走りながらとかさ、『決勝や!さあ、決勝!』とかそういうことを言っているから。みんなもそういう気分でやってくれると思う」。負ければ終わりの覚悟で、全員が持てる力を振り絞る大一番となる。


一方で、ここまで戦い抜いてきた野球を変えるつもりは毛頭ない。この日の訓示でも、もっとも強調したのがその点だった。


「勝つことが大事なのは誰もが分かっている。でも、同じくらい大事にしたいのが、俺らの野球、タイガースの野球を貫くということ。勝つのと同じくらい、もしかしたらそれ以上に大事にしたい部分なので。失敗を恐れずに挑戦してもらいたいし、走り切るとか、一丸で戦うとか、何かそういうものをやり切るということを考えてもらった方が、俺はいいんじゃないかって。そういうことは話をさせてもらった」


ヤクルトの結果待ちとはいえ、優勝の可能性が残る状況でシーズン最終戦に臨めるのは、野球人として願ってもないこと。ここまでの戦い方が間違っていなかった証でもある。一時は絶望的と見られた奇跡の扉を開くべく、指揮官も選手も一つとなって今季78勝目をつかみ取る。