この一戦に懸ける思いを結果、内容で見事に体現した。ガンケルが、序盤からヤクルト打線を寄せつけず7回2/3を4安打無失点の快投。今季ベストピッチと言えるパフォーマンスで役割を全うした。


「2、3回ぐらいボール先行があったけど、ストライク先行で良い投球ができた」


最後まで芯で捉えられた打球はなかった。初回は1死から青木に右前に運ばれるも、山田を投ゴロ併殺。難敵を封じて、緊張感のある立ち上がりを乗り切ると、おもしろいように凡打の山を築かせた。目立ったのは、バッテリーを組んだ坂本のフレーミングとの相性の良さだ。球界屈指の捕球技術を誇る相棒のミットめがけて内外角へ直球、変化球を投げ分け、コースぎりぎりのボールで何度も気持ち良い「ストライクコール」を響かせた。


「本当に坂本さんが良い配球をしてくれて、その配球通りに投げることができた」


ヤクルト・高橋と互角以上の投手戦を演じ、三塁を踏ませなかった。7回1死一塁ではフルカウントから村上を内角への直球で見逃し三振に斬り、山田の二盗も坂本が阻止すると、右拳を突き上げて喜びを表現。8回2死でサンタナに二塁内野安打を許し降板となったが、ベンチへ下がる背番号49には勝利投手に匹敵する大きな拍手が注がれた。


矢野監督も「完璧じゃない?コーナーもいって、インサイドも攻めながら、球の力もしっかりあった。大事な場面で素晴らしいピッチングをしてくれた」と称賛。CSでの再戦を見据えても、助っ人右腕の存在感をより大きくする94球だ。


この夜がシーズン最終登板となる可能性もあり、2桁勝利は逃したが、開幕から安定感を誇示して9勝を積み上げた。「すべてのスタッフが1年間、支えてくれたおかげ。みんなには感謝したい」。周囲への感謝を忘れない虎の『優男』は、次なる登板へ向けて準備を始める。