「プロ野球ドラフト会議」(11日、都内ホテル)


阪神からドラフト2位指名を受けた鈴木勇斗投手(21)がこれまで歩んできた道は、決して間違っていなかった。遠回りでも、たどり着いた場所。「これまで諦めなくてよかった」。全てが報われた瞬間、目頭を熱くした涙がほおを伝った。


今年の春、鈴木は突然、アピールの機会を失った。チームに新型コロナウイルスの感染者が確認され、春季リーグを途中辞退。それでも「気持ちを切り替えて、チームをまた立て直そうと」。うつむく時間はなかった。


鹿児島県出身。鹿屋中央高時代にプロ志望届を提出し、一度は目指したプロの道がある。だが、その扉は最後まで開かなかった。「大学で一から頑張っていこう」。それでも直面した現実は残酷で、ゲームで投げるレベルには届いていなかった。先輩との差を痛感する日々だった。


鹿児島県出身。鹿屋中央高時代にプロ志望届を提出し、一度は目指したプロの道がある。だが、その扉は最後まで開かなかった。「大学で一から頑張っていこう」。それでも直面した現実は残酷で、ゲームで投げるレベルには届いていなかった。先輩との差を痛感する日々だった。


「お前がやりたいようにやれ」…。


くじけそうになるたびに両親の言葉を思い返した。ドラフト前夜には「どこの球団でも、何位でもいい。選んでくださった球団で頑張りなさい」と背中を押され、「好きな色は赤です。でもこれから黄色が好きになると思います」と笑った。


「両親にこれから恩返しできると思うとうれしい。少しでも楽をさせてあげたいです」。甲子園出場経験はなし。憧れだった舞台が、今度は主戦場に変わる。「あのマウンドで投げられると思うとすごくうれしい。目標はプロ初勝利、新人王です!!」。涙あり、笑顔ありの幸せな門出。憧れの高橋と共に、左腕王国を築く。


◆鈴木勇斗(すずき・ゆうと)


◆生まれ…2000年3月17日、鹿児島県日置市出身。174センチ、83キロ。左投げ左打ち。A型。


◆家族…父、母、兄、妹。


◆球歴…小学4年から野球を始め、鹿屋中央では2年秋からエース。鹿児島大会4強が最高成績。創価大では2年からベンチ入り。最速152キロ、球種はスライダー、カーブ、チェンジアップ。


◆趣味…音楽を聴くこと、アニメを見ること、寝ること。


◆特技…水泳。


◆座右の銘…耐雪梅花麗(厳しい雪に耐えてこそ、梅の花は美しく咲く=西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節)。


◆好きな鹿児島弁…「ちぇすと」(しっかり頑張れの意味)。


◆愛読書…藤川球児の著書「火の玉ストレート・プロフェッショナルの覚悟」。


◆憧れ…同じ左腕の高橋遥人。


◆対戦したい打者…ヤクルト・村上。