亜大の2年先輩にあたる板山の決勝打に万歳して喜んだ愛くるしい後輩が「投」のヒーローだ。高橋は、7回1安打無失点の快投。11奪三振と巨人打線に付けいる隙を与えない『圧投』で勝利を呼び込んだ。


「尻上がりに良くなったかなという感じ。四球も出しちゃいましたけど、しっかり粘り強く投げられたと思います」


同じ相手、球場で完封した9月25日のマウンドを再現するかのようなパフォーマンスだった。序盤からトップギアで腕を振り、4回まで2四球のみの無安打投球。5回、先頭の中田に左前に運ばれ初安打を許してもリズムは崩れない。若林、小林、山口を3者連続三振に斬って無失点。その後も1四球を献上しただけで、敵地に快音を響かせなかった。


元気のない巨人打線の中にあって、27試合連続安打と要警戒だった松原も1四球のみの2打数無安打で記録更新を阻止。「良くなかった」と試合前ブルペンでは『苦投』も「ストレートが後半良くなった。投げながら。クイックの時に」と走者を背負ってのクイック投法でタイミングをつかみ、いつもの『エグい』ボールを取り戻した。


試合後は「大事な試合で試合をつくれなかったんで」と5回4失点だった前回8日の首位・ヤクルトとの一戦での悔しさを再び口にした。悔しさを伝統の一戦にぶつけ、ポストシーズンで再戦する可能性がある巨人に対しては16イニング連続無失点と無双。矢野監督も「遥人の力からしたらこれくらいやってくれると。そんなにビックリもしないし、これくらいやってくれる」と目を細めた。


「(次回も)しっかり試合をつくれるように頑張ります」。カード初戦で12勝目を挙げた青柳とともに今や「エース」と呼べる存在の男が、逆転優勝への機運を高める。


<被安打1以下のG戦勝利は5年ぶり>阪神は巨人打線を中田の1安打に抑えて勝利。巨人戦の被安打1以下は、16年7月7日に村田修一の単打1本に抑えて以来5年ぶり。今季の巨人戦は13勝9敗3分けで14年ぶりに勝ち越し東京ドームでは7勝3敗2分け。東京ドームの巨人戦7勝は、04年と07年の8勝に次ぐ成績となった。