4時間19分の死闘も…。阪神は今季最後の神宮でヤクルトに4-6で敗戦。15安打を放ちながらも、今季ワーストの17残塁と拙攻で、ヤクルトの優勝マジックナンバーは9となった。虎党から悲鳴の声が飛ぶが、あきらめたらアカン!奇跡の逆転優勝を見せてくれ!


打てる手も、安打も、続々と打った。だが本塁もVも、向こうからは近づかない。嘆いてもキリがないほどの残塁禍でねじ伏せられて、この敗戦でできることはほぼなくなった。ここであきらめるのか。残すは11戦。矢野監督は言葉を紡いだ。


「もちろん、終わるまでね。俺らがあきらめるわけはないんで。相手の負けるのを待っていてもね、優勝が近づくことはないと思うので、自分たちがあきらめずに、今までやってきた全員一丸とか、きょうもその気持ちは出してくれているので」


総力をぶつけ、今季最長4時間19分に及ぶほど食らいついた。2点を追う九回も2死一、三塁まで追い詰めたが、頼みのマルテが見逃し三振に終わり力尽きる。七回以外の8イニングで計15安打を放ち、そのほぼ全イニングがチャンスだった。にもかかわらず、得点は四回に敵失が絡んで奪った4点だけ。残塁だけがいたずらに増え、1943年に記録した球団ワースト「18」にあと1に迫った。先発のガンケルを3回2失点でスパッと代え、覚悟を持って継投に出たがリリーフ陣も四死球絡みで失点を重ねた。


一歩も引けなかった直接対決3連戦にも負け越し、ヤクルトには3カード連続負け越しで優勝へのマジックナンバーを「9」とされた。ヤクルトが残り14試合を7勝7敗の勝率5割で進めば、阪神が上回るには残り11試合を10勝1敗以上が必要。デッドラインは通り過ぎたかもしれないが、食らいつくのをやめてしまえば、何も残らない。


神宮での今季のレギュラーシーズン最終戦だった。別れ際は、甲子園でのゲームのように虎党たちに深々とお辞儀をした。声を枯らした虎党の一人、千葉県から観戦に訪れていた星侑貴さん(26)は「覇気が感じられない。1位のチームとの差を感じます。今後のCSを考えても不安」と嘆いた。ここで簡単にあきらめてしまうのなら、永遠に夢は叶わない。


春先には助っ人陣がそろって好調で、そこに佐藤輝が色を添えて白星を重ねた。ヤクルトにも開幕カードから3カード連続で勝ち越したが、終盤には対照的なチーム状況に陥った。サンズが不振によって2軍へ降格。周りが打つ間はどれだけでも三振できた大物ルーキーも、厳しいプロの攻めに無防備にさらされ続けてボロボロになった。助っ人陣がそろって沈黙したとき、一気に下降してしまうようでは、CSも、来季も変わらない。この先の絶対にあきらめない11戦から、何かを見せていかねばならない。


矢野監督は「もちろん連勝せなアカンのは分かってるし。もうね、何個も負けられるわけじゃないんでね」と言葉をつむいだ。後はない。だが、ファンもあきらめない。