「プロ野球ドラフト会議・supported・by・リポビタンD」が、11日午後5時から東京都内のホテルで開催される。阪神は10日、ヤクルト戦前に東京都内で前日会議を行った。1位指名の公表は避けたが、森木大智投手らから絞り込むもようだ。昨年は4球団競合の末に佐藤輝明内野手(22)の交渉権を引き当てた矢野燿大監督(52)が、その手で歓喜の再現に挑む。

多くの人の胸が躍る『縁』を再度もたらすために、矢野監督が手を伸ばす。競合覚悟で、最も欲しい選手を獲りに行く。

「去年に似たような無心でいけると思うので、いい結果になると信じています」

昨年に続いてシーズン途中、しかもこの佳境で迎えるドラフト会議。ヤクルト戦が控えていたため、前日会議には指揮官はユニホーム姿で参加した。1年前の記憶がよみがえる。どんな競合も勝ち抜けそうな気がする。

今年も前日の時点では1位指名選手の決定には至らず、矢野監督も「いえいえ、まだ最後まで考えます」と熟考を重ねる姿勢を見せた。最速154キロを誇る高知高・森木大智投手、152キロの市和歌山高・小園健太投手、大学ナンバーワン左腕の呼び声も高い西日本工大・隅田知一郎投手らを候補にギリギリまで検討を重ねる。

彼らを指名するとなれば抽選は必至だが、畑山統括スカウトは「うちが一番欲しいという選手を指名していきたい」と力を込める。『あの箱』の前に立つことになる人物を問われても「去年も佐藤輝を引き当ててくれていますし、普通の流れで(矢野)監督になるとは思います」と期待を口にした。球団としても、厳しい戦いの真っただ中に身を置く将に、何とかもうひと肌脱いでもらい、佐藤輝と結ばれた日を再現してもらいたい。

2019年はD1位に西純から5位まで高校生を指名した。未来を見据えながらも、同年にD3位で指名した及川は今、1軍で奮投を重ねる。佐藤輝の同期は伊藤将も中野もそろって躍動。目の前にある優勝争いは過酷だが、指揮官自身が誰よりドラフトの縁を信じ、胸を躍らせている。

「いいピッチャー、全部欲しいし、いいバッター、全部欲しい。全員ちょうだい。希望」

そう語り、にこやかな表情も見せた。金の卵をつかみ、こん身の矢野ガッツを決める。