あちこちに文句を言いたくなる「10月8日」だった。


まずは阪神打線。こちらは、大展開しているサンスポの1面から3面までを熟読していただければ。言いたいことは一緒だ。打て!点を取れ!勝て!


次に在阪テレビ局の方々へ。なぜ、天王山の大一番、今季セ・リーグ最大の決戦が地上波で中継がないのか。確かにCS放送では、フジテレビONEで評論家・江本孟紀氏が舌鋒鋭く解説。われらがエモやんが大いに決戦を盛り上げてくれていた。


が、CS契約を結んでいない家庭は山ほどあるわけで。特にご高齢の家庭は。毎日放送様、朝日放送様、関西テレビ様、読売テレビ様、テレビ大阪様、サンテレビ様、そしてNHK様。いろんな事情があるんでしょうが、やっぱり地上波のテレビ中継がないのは寂しい。何度も言う。大一番だったわけですから。


10月8日といえば、われわれの世代ではやはり、国民的行事と称された「10・8決戦」。1994年。巨人と中日が69勝60敗の同成績で迎えた最終戦。勝った方が優勝という大一番を制したのは、長嶋監督率いる巨人だった。日本中が注目した。取材した当時の記者たちから「朝から緊張して何も食べられず…」「質問するために声を発するのも、しんどくなって」と聞かされたもの。やるか、やられるか。ピ~ンとした異様な緊迫感こそが、大一番の魅力だ。


さあ、神宮決戦。さぞや、緊迫しているんだろう、と神宮記者席のサブキャップ・新里公章に聞いてみた。


「普段と変わらず、まったりとした感じです」


「試合前の練習中もスアレス兄弟が外野で談笑してまして、そこに阪神の通訳がケーキを持ってきて、スアレス兄(ヤクルトにいるのが兄アルバートで、阪神が弟ロベルトです、念のため)に渡すと、阪神の投手陣がみんな拍手。どうやら10月8日はスアレス兄の誕生日らしいですね。和気あいあいでした」


へぇ~。今どきの選手たちって、そういうモノなのか。今から野球人生をかけた大決戦だというタイミングで、和気あいあいねぇ。


声高に昭和の世代を押し付ける気もないけれど、もっとギラギラしてほしい、という思考回路は古すぎますか?


当番デスク席に陣取っていたのは牧慈。五輪取材経験豊富なこの男。東京五輪イヤーのことしは、ずっと一般スポーツ担当デスク専任だったが、堀啓介新部長が誕生した今月から、再び野球デスクも担当することになった。


「僕はプロ野球では巨人しか担当したことがなくて、チームは優勝しかなくて…。シーズンはいつも通過点という感じで、大一番というものを経験したこともないんです、すみません」


くっそ~。一番文句を言いたくなるようなヤツが、まさか社内にいたとは。こんな牧デスクの話も、阪神が勝ってくれれば、聞き流せたのに。


文句いっぱいの10月8日は、阪神グループの阪神百貨店梅田本店が「食の阪神」を前面に、新装リニューアルオープンした日でもあった。「食の阪神」。実はタイガースより人気があると噂される阪神百貨店。虎ナインも気持ちをリニューアルして頑張ってもらいましょうか。