「ヤクルト4-1阪神」(8日、神宮球場)


阪神はヤクルトに完敗し、130試合目で自力優勝の可能性が消滅した。首位チームの実力、采配、勝利への執念をまざまざと見せつけられた中、大山悠輔内野手(26)が2戦連発の21号ソロで一矢報いた。プロ入りからポストシーズンも含めた10月の打率が3割を超える4番。奇跡を起こすには、この男のバットが欠かせない。


自力優勝の可能性が消滅してもまだ終わっていない。三塁側スタンドから注がれる励ましの声援と期待の拍手。ただ、結果が全てとばかりに大山は敗戦の責任を一身に背負い、厳しい表情を崩さず足早にグラウンドを去った。


「前を向いてやっていくしかないので、反省するところはしっかり反省して、また明日から勝ちに向かって、チーム一丸となってやっていきたいと思います」


天王山の初戦で痛い敗戦。チーム唯一の得点は主将の一撃だった。奥川に対して、打線が安打を放てずに迎えた2点を追う四回2死。フルカウントからの外角高めの直球を完璧に捉えた。高々と舞い上がった打球は右翼席へ到達。2試合連続となる21号ソロで反撃ののろしを上げた。


試合の流れを引き戻そうと放った気迫の一撃。「しっかり打席の中で攻めていった結果がホームランになって良かった」と納得のアーチとなった。これで10月に入って7試合で4本塁打。10月はCSを含めて通算57試合で209打数67安打、11本塁打、45打点で打率・321と好成績を残している。


5年目の今季から主将に就任した大山。言葉ではなく姿勢で示すキャプテンシーを思い描き取り組んできた。「チームの勝敗であったり、そういったところは僕が引き受けるというか。そういった気持ちで今年はやっていくと決めている」と大黒柱としての責任を十分に感じ、任務を果たそうと奮闘している。


チームだけでなく、打線の中軸を担うからこそ、勝つためには好調を維持し続けるしかない。実際に試合前まで大山が本塁打を放てば14勝4敗と高勝率。4番が打てば打線が活性化していた。


連敗を喫し、首位・ヤクルトの背中が遠ざかったのは事実。ただ直接対決も残り4試合あり、巻き返すためのチャンスも残されている。勝てなかった現実とヤクルトに優勝へのマジック11が点灯したことを受け止めた大山。ミスター・オクトーバーのバットを先頭に、上だけを見て残り13試合を戦っていく。


◆自力V消滅◆…阪神は8日のヤクルト戦に敗れ、今季130試合目で自力優勝の可能性が消滅した。阪神が9日以降の残り13試合に全勝しても83勝53敗7分けの勝率.610。ヤクルトは阪神戦残り4試合に全敗しても、阪神戦以外の12試合で11勝すれば78勝49敗16分けの勝率.614。阪神は勝率でヤクルトを上回れない。なお、9日の試合で阪神がヤクルトに勝っても、自力優勝の可能性は復活しない。