節目にふさわしい、仕事をやってのけた。3年連続のシーズン勝ち越しを決めた一戦。4番・大山が1本塁打を含む2打点でチームを上昇気流に乗せた。


「みんながやった結果(勝利)だと思うので、個人的にどうというのはない。最終的に(点を)相手より多くというところで、チーム全員が頑張ってる証拠だと思う」


一丸での勝利を強調したが、中心にいたのは紛れもなく大山だった。初回。わずか5球で先制すると、自らも快音を響かせた。1死二塁から坂本の外角チェンジアップを左前打。4試合ぶりの適時打で流れを引き寄せた。


見せ場はさらに続く。4-0で迎えた3回2死走者なしからの第2打席。フルカウントからの外角チェンジアップを、今度は逆方向へはじき返した。高々と舞い上がった打球は右翼席の最前列に着弾。1日の中日戦以来、3試合ぶりの19号ソロとなった。


「3人で(攻撃が)終わってしまうと流れも変わってしまうというのもあったので、まずは塁に出ようと。チームにとっても自分にとっても大きな1本だった」


直前にはマルテが中越え打で二塁を狙ったが、憤死。積極的な姿勢が裏目に出たとはいえ、走塁ミスは往々にして流れを手放してしまう。漂いかけた嫌な雰囲気を払しょくした効果的なアーチ。佐藤輝、サンズ、マルテに次ぐ20本塁打にあと1本と迫り、85年のバース、掛布、岡田、真弓以来36年ぶりとなる「20発カルテット」誕生も見えてきた。


8回にも中前打を放ち、9月3日の巨人戦以来25試合ぶりの猛打賞を記録した。10月は4試合で15打数6安打2本塁打4打点。好調を維持しているが、慢心はない。「厳しいゲームは続くので頑張っていきたい」。大山が今季、打点を挙げた40試合は32勝6敗2分けの勝率・842。主砲が放つ一打は、チームに勇気を与えてくれる。


<矢野監督200勝まであと2>阪神は4連勝で今季16試合を残して69勝51敗7分けとし、19年から3年連続のシーズン勝ち越しを決めた。矢野監督は就任1年目から3シーズン連続の達成。阪神監督で3シーズン以上は05〜08年の岡田監督4シーズン以来だが、就任1年目からは1リーグ時代の石本監督6シーズン、若林監督3シーズンに続く3人目で、2リーグ制以降では球団初。また監督通算198勝目で、18年金本監督に続く歴代14人目の阪神監督200勝まであと2勝としている。