【畑野理之の理論】


勝った、3連勝やと喜べばいいのだが、どうしても注文をつけてしまう。ジョー・ガンケルが抑えて、ジェフリー・マルテがまたホームラン打って、最後は岩崎優→ロベルト・スアレスの勝利の方程式で確かに快勝…なのだが、ずっと僅差が続くと、やっぱり見ていてしんどい。


この3連戦、得点はすべて本塁打によるもので、タイムリーは1本もなかった。1戦目が大山悠輔2ランとマルテ3ラン。2戦目はマルテ3ラン、そして3戦目がマルテソロ、だけ。矢野燿大監督も「欲を言えば、もうちょっと点を取りたいというのはあります」と、万々歳というわけではなさそうだ。


いつもいつもは無理でも、どこかで追加点を奪えればグッと楽になるのだけど。課題は打順6番以降だろうか。1番から5番までは固定されてきた。上位2人が出て、走って、中軸が還す流れはできつつある。問題はその後で、それはイコール、外野の両翼。この3連戦の左翼と右翼のスタメンと打撃成績は……。


<1戦目/相手先発は笠原(左腕)>

(6)【右】小野寺暖/4-0

(7)【左】糸井嘉男/1-0


<2戦目/相手先発はロドリゲス(右腕)>

(6)【左】ロハス   /2-0

(7)【右】島田海吏/3-0


<3戦目/相手先発は小笠原(左腕)>

(6)【左】小野寺暖/4-1

(7)【右】佐藤輝明/4-0


予告先発された相手投手の右左をみて使い分けられているが、安打はこの日4回先頭で小野寺が放った左中間二塁打1本のみ。ベンチは少しでも打つ確率を求めて日替わりで送り出しているが、現状は誰が出て行っても期待に応えられていない結果になっている。


佐藤輝が59打席連続無安打、ジェリー・サンズも打撃不振で出場選手登録を抹消されている。誰かを応援しているつもりはないが、小野寺や島田にとっては奪い取る絶好のチャンスなのにと思って見ている。この日の8回、小野寺の第4打席は右の祖父江との対戦だったが詰まった投飛。アピールはできなかった。


1-0勝ちは野球の醍醐味の一つで、10-0勝ちも同じ1勝には変わりないが、勢いがつくのは後者だとよく言われている。野手みんなが打てば曇っていたベンチは明るく晴れるのだという。ヤクルトに今、ものすごい勢いを感じるからこそ、余計にそう思ってしまう。怪物くんの復活か、先日プロ1号を放った育成から昇格した雑草魂か、それとも背番号53を継承するスピードスターか…。誰か出てきてくれたら、ヤクルトを追い抜ける気がする。