【金本知憲・視点】

3回にマルテのソロで挙げた1点が最後まで効いた。初回1死一塁では初球を一邪飛。小笠原の高めの速球に差し込まれた。迎えた2打席目。中日バッテリーが抑えた球から入って来る…と読んで狙いを絞っていた。読みの良さに加え、いい意味での割り切りもできる。もし変化球が来たら、1ストライクをあげてもいいという考え方だ。2死無走者で長打を狙ってほしい場面。中軸を任される打者にふさわしい打撃だった。

この1点を守り切った投手陣も良かった。ガンケルは低めの球がよく動き、持ち味のゴロアウトを取れた。ただ、高めに浮く甘い球も少なからずあった。中日の各打者の調子が全体的に落ちていることにも助けられた印象だ。この3連戦を通じて中日は打線に元気がなかった。そういう状態で対戦が回ってきたのは追い風だった。

両軍とも1死三塁からの攻撃で三塁走者の飛び出しがあった。4回の阪神は次の打者が投手だから『当たりゴー』が基本。梅野の遊直で併殺は仕方がない。中日の7回は同点狙いのギャンブルスタートとはいえ、空振りした球だ。この点でも助けられたと言える。

一時は疲労があったように見えたスアレスも状態が戻ってきた。前日の高橋遥人の完封で連投を回避できたことも大きい。そういうところもつながっている。1-0の展開で最後にスアレスがいるのは強みだ。8日からはヤクルトと3連戦。阪神は絶好調の高橋を起用できる。楽しみな直接対決になる。