阪神は3日の中日戦に1-0で勝ち、同一カード3連勝を飾った。9回を守護神のロベルト・スアレス投手(30)が貫禄の3人斬りでリーグトップを独走する36セーブ目を記録。1ゲーム差で首位を走るヤクルトの兄・アルバートも来日初セーブをマークしプロ野球史上初の「兄弟同日セーブ」となった。8日から神宮での直接対決3連戦があり、互いのチームの勝利をかけた「兄弟対決」にも注目が集まる。


最後は160キロの剛速球で福留のバットに空を切らせた。1点差で中日打線の中軸を迎えた9回を、いつも通りクールに締めくくったスアレス。その1分後、遠く離れた広島から「兄弟同日セーブ」という個人的には喜ばしいが、チームにとっては残念な知らせが届いた。


「とてもうれしい。もちろんチャンピオンを争うライバルではあるけれども、ともに日本で戦う仲間として、そして兄弟として彼の成功をうれしく思う。これからも、ともに頑張っていきたいね」


9月29日から救援登板を続ける兄のアルバート(ヤ)が、この日は「急造守護神」として広島戦の9回に登板。こちらは2安打され何とか無失点での来日初セーブとなった。同日のほぼ同時刻に記録というだけでなく、1ゲーム差で首位を争う2チームで、というのも興味深い。


もちろん、勝負の世界に生きるものとして、負けるつもりはないし、本物の守護神としてのプライドもある。9回先頭の大島は2球で追い込み3球目の157キロで遊飛。4番ビシエドも内角への156キロで空振り三振に仕留めると、福留も簡単に料理した。


「セーブの機会だったんで、しっかりと生かせるようにと思って投げたし、それができて勝利に結びついて良かった」


ガンケル、マルテとともにお立ち台に呼ばれ、助っ人陣随一の流ちょうさを誇る日本語で「ミナサン、オウエンヨロシクオネガイシマス!」と、甲子園のファンを沸かせた。ソフトバンク時代から剛腕ぶりは評価されていたが、17年の「トミー・ジョン手術」を経て19年オフに阪神入り。来日6年目で完全開花した今季は、優勝すればMVPの最有力候補にもなりそうだ。


3日連続で試合前の円陣の声出しも務めた右腕に、矢野監督も「任せる気持ちで送り出せる投手がいてくれるのはこっちとしても心強い。心の底から本当に信頼しています」と最敬礼した。8日からはヤクルト3連戦。再び「ツバメのスアレス」が試合終盤に登板してくる可能性もあるが、猛虎の絶対的守護神の存在感は別格だ。


【主な兄弟同日〇〇】


★セーブ…今回のスアレス兄弟が初めて。兄のアルバートは来日初セーブ。弟ロベルトは62S目で、兄弟でセーブを記録したのは松沼博久1Sと雅之12S、入来智2Sと祐作3S、香月良太3Sと良仁1Sに次ぎ4組目。


★登板…スアレス兄弟は9月21日以来今季7度目。20年10月19日の阪神-ヤクルト戦で外国人投手初の同一試合での兄弟登板を果たした。同一試合、同一イニングの投げ合いは98年7月16日の山田勉と洋まで過去3組で5度。先発での対戦はない。


★勝利…69年9月21日の金田正一と留広。56年には武智文雄と田中照雄が3度記録。


★本塁打…19年5月10日の田中広輔と俊太が記録。俊太はプロ初の満塁弾を打ち、史上8組目の満塁弾を打った兄弟になった。同一球団では阪神の新井貴浩と良太が12〜13年にかけ3度。ロッテのリーとレオンが78~82年で28度。50年7月27日、近鉄の加藤春雄と政一の3組。