阪神は29日の広島戦で投打に精彩を欠き、2-8の大敗を喫した。今季、甲子園では24勝25敗3分けと黒星が先行。悲願成就には、16年前の同じ9月29日にリーグ優勝を決めた本拠地での『目覚め』が不可欠だ。首位ヤクルトも敗れ、1ゲーム差のままなのが救いだが、矢野燿大監督(52)にとっても苦しい戦いが続く。


16年前にリーグ制覇を決めた記念すべき日に、同じ甲子園で矢野阪神が無残に散った。5位に低迷する広島に投打で圧倒され、2-8の大敗。矢野監督のコメントにも元気はなかった。


「誰かが1本、というとアレやけど、出してくれると変わるんやけど。そこは最近ずっと課題。それがなかなか突破できないんで。どうしてもちょっと重いというか、投手に負担がかかって、思うように進められない、点が取れないというのがやっぱりね」


勝機がなかったわけではない。0-3から2点を返して迎えた6回は糸原、サンズの安打と敵失が絡み、1死満塁の同点、逆転のチャンスをつくった。しかし、梅野が一邪飛、代打・原口も中飛に倒れて無得点。勝負強さが売りの2人が、本拠地の声援を力にできなかった。


7回にも2死満塁としたものの、佐藤輝に代わって右翼で先発起用された糸井がバードの前に空振り三振。11日の広島戦以来13試合ぶりの2桁安打を記録しながら、2イニングで6人の走者を残塁させる決め手の無さを露呈した。8、9回には中継ぎ陣が失点を重ね、試合を決められた。


「誰も助けてくれないんでね。自分たちで突破していくしか、全員でやるしかない」


本拠地で勢いに乗れない。甲子園では24勝25敗3分けとなり、チームの貯金が15ある中で負け越し1。井上ヘッドコーチも「本当は地の利を生かして優位に立って上から目線でいきたいが、うまくかみ合わない。ホームの残り試合も少ないが、いいところを見せてゴールを切るためには、連敗したけど切り替えていくしかない」と厳しい表情だった。


同じ9月29日に頂点に立った05年は甲子園で35勝21敗4分け。優勝した年は必ずホームで多くの貯金をつくっている。残りの主催試合は10。本拠地の観客をどれだけ喜ばせられるかが、悲願成就の行方を左右する。


○…阪神とともに首位ヤクルトも敗れたため、阪神の自力優勝の最短消滅は1日延びて10月1日になった。30日、1日の2試合で阪神が連敗。ヤクルトが2勝か1勝1分けすれば、阪神の自力優勝が消滅。ヤクルトに優勝へのマジック17が初点灯する。