糸井嘉男外野手(40)が26日の巨人戦で1-0の5回2死満塁から走者一掃の二塁打を放ち、2連勝に貢献した。3位・巨人を4ゲーム差へ突き放して自力優勝の可能性を消滅させ、14年ぶりのカード勝ち越しにも王手をかけた。今後は勝率9厘差で追うヤクルトとの一騎打ちの公算が大きくなり、殊勲の糸井、そして、矢野燿大監督(52)から『優勝宣言』が飛び出した。


激闘の3日間を勝ち抜き、はっきりと『ゴール』が見えた。糸井は勝利の余韻が残る敵地でうなずいた。


「やっぱり強いジャイアンツに勝っていかないと頂点を獲れないと思っているんで、良かった。絶対に頂点に立てるよう、監督を胴上げできるように、残り試合、頑張っていきます」


ヒーローインタビューよりも先にマイクを向けられた矢野監督も「僕たちの戦いからみなさんに元気を届けて、そして、最後には優勝します」と宣言した。


9月終わりに迎えた宿敵との直接対決。初戦は土壇場で追いついて引き分け、残り2戦も競り勝ち、2勝1分けで終えた。リーグ3連覇を狙う巨人を内容でも圧倒し、誰の手にも確かな手応えが残った。


糸井にとっては6試合ぶりの先発出場で、起用に応えた。1-0の5回。3四球で得た2死満塁だ。目前で糸原に1球もストライクが入らなかった鍵谷に対して初球から打ちに出た。真ん中の直球を捉え、一塁線を抜いた二塁打。走者を一掃し、ベンチに向かって『どうや』と言わんばかりに指を突き刺した。


「スタメンで使ってもらっていたので、何とか爪痕を残したいなと思っていた。個人的には一昨日、代打でいって三振した悔しさがあったので。あの後、部屋でじゅうたんが掘れるぐらい素振りをしていた」


24日の初戦は同点後の9回1死三塁でビエイラの直球に空振り三振。2日前は打てなかった速球を仕留めた。2回の中前打を含めて8月28日の広島戦以来、出場15試合ぶりのマルチ安打。外国人枠の関係でサンズがベンチを外れた中、選手層の厚さを示す存在感だった。


巨人の自力優勝を消し、もう下を見る必要はない。16年ぶりリーグ優勝へ向けたライバルは8連勝へ伸ばしたヤクルトに絞られたと言っていい。「もう負けられないし、全部がしびれる場面だと思う。しっかり準備して、全部試合で出せるように。それだけです」。不惑の40歳。猛虎加入5年目で悲願達成の好機を迎え、残り23試合の完全燃焼を誓った。


<阪神最速M灯は10・6>セ・リーグは3位の巨人に自力優勝の可能性が消滅し、優勝争いは首位ヤクルトと2位阪神に絞られる可能性が高まった。現日程で優勝マジックの最速点灯日は、ヤクルトが9月30日、阪神は10月6日。


▽阪神とヤクルトの優勝争い…セ・リーグの上位2チームを阪神とヤクルトが占めたのは、1992年の一度しかない。巨人を交えた三つどもえの争いの中、阪神は9月9日から7連勝で一度は首位へ浮上。10月6日から2位ヤクルトとの直接対決に2連敗して首位から陥落し、連勝すればプレーオフに持ち込めた10日のヤクルト戦に敗れてV逸。最終成績はヤクルトが69勝61敗1分け、阪神は67勝63敗2分けで2ゲーム差を付けられ、巨人(67勝63敗)と同率2位だった。