(セ・リーグ、中日2-1阪神、19回戦、阪神10勝8敗1分け、22日、バンテリンドーム)


中軸打者の不振で極度の得点力不足に陥っている矢野阪神に対し、通算465本塁打を放ち、西武、中日で打撃コーチなどを務めた土井正博氏(77)が「今こそ矢野監督が腹をくくるとき」と熱く訴えた。「佐藤輝の昇格は大賛成。打線を固定して、俺が責任を取るぐらいの気持ちで戦い抜け」とエールを送った。


■「きょうこそ、打ってくれ」ではダメ


私自身、コーチとして過去に何度も打線が沈黙する経験をした。さまざまな記憶がよみがえる。今、毎日のように打線を組み替えて戦う阪神を見ていると、ズルズルいってしまう危険性を感じている。いろんな選手を出したり引っ込めたりで使って、「きょうこそ、打ってくれ」ではダメなのだ。


まずは、監督がドシッと構える。一番分かりやすいのは、原点に戻って打線を固定すること。ルーキー佐藤輝を昇格させると聞いた。大賛成だ。ことしの阪神に勢いをつけてくれた最大の功労者なのだから。


もう一人、私なら糸井を使う。ヒットが出なくても、ファウルで粘って相手が嫌がる打撃ができるからだ。


■4番以降は、ほぼ機能していない


現状の打線を見ると、1番から3番までは合格点というより、満点に近い頑張りを見せている。この日も3番までが7出塁。ところが、4番以降はマルテにようやく適時打が生まれたが、ほぼ機能していないと言っていい。


この日のスタメンからサンズ、陽川に代わって糸井、佐藤輝を入れて打線を組む。私なら4番以降は、マルテ、糸井、大山、佐藤輝という並びか。ここは矢野監督が決めればいい。そして、固定する。腹を据えて、このメンバーで戦い抜くんだという姿勢を見せること。打てなければ俺が責任を取る、という決意が伝わって来れば、誰も文句は言わない。


そして、勝負に徹する。たとえば、この日の二回無死一塁で不振のサンズの場面は送りバントも選択肢に入る。調子のいい打者は打たせればいい。この先、固定メンバーの調子が落ちたら、誰であろうと送りバント、エンドラン。「打ってくれ」はダメ。監督の腹ひとつでできる。


優勝へ向けて、まだ阪神が有利だと感じる。腹をくくって、残り試合、戦い抜いてもらいたい。