「中日2-3阪神」(21日、バンテリンドーム)


勝利に勝るモノは何もなし…。阪神は九回にスタメンに抜てきされた木浪聖也内野手(27)が決勝犠飛を放って首位の座をキープした。天敵・柳を攻略するも、継投が裏目に出るなど苦しみ抜いた末につかんだ1勝。中軸の復調、そして救援陣の整備とVへの課題は尽きないが、残り28試合、一つでも多く勝つしかない。


殊勲の島田が決勝のホームへ滑り込むと、矢野ガッツを決める指揮官を筆頭に阪神ベンチが沸いた。チームが好調とは言えない中でもぎ取った執念の勝利。首位陥落の危機をしのいだことも含めて、大きな1勝となった。


「ほんとに一人一人が気持ちをつなげながら取った1点。我慢の中で(勝利を)拾えたと思う」。矢野監督が目を細めた土壇場、九回の1点は、この日5番に入ったロハスを早々と六回の守備から下げ、代わりに出場した島田の内野安打による出塁が起点となった。


島田が二盗に成功すると、サンズがフルカウントからインハイの球を無理やり逆方向に転がす進塁打で1死三塁とした。これでサンズは17打席無安打となったが、不調の中で何とかしようという献身的な姿勢が尊い。


最後は木浪が左犠飛を打ち上げて勝ち越し。「(木浪に)代打もよぎったけど。レギュラーを中野に現状奪われた形でも、キャンプからやれることをしっかりやってきたというのも頭の片隅にはあるんで。任せようと」。天敵・柳対策として、大山に代わりスタメン起用した男が決めた。


勝利はつかみ取ったが、投打の課題が浮き彫りになる苦しい試合だった。19イニング無得点だった柳から先制しながらも、リードを守れなかったのは必勝パターンにつなぐまでの若い中継ぎ陣だ。


無失点投球の秋山を5回87球で交代。しかし後を受けた小川がピンチを招くと、代わった及川が京田に同点の中前2点打を浴びた。「アキ(秋山)には申し訳なかったけど、俺の中ではいっぱいかなと思ったんで。若い投手を出している以上、責任は俺にある」と矢野監督は受け止めた。


打線では4~6番に並べた外国人が無安打と不発。「4番以降がねえ。1、2、3番ではいけているけど。その後のところで(もう1本が)出れば、試合展開も変わったと思う。ちょっと我慢かな」。中軸打線の不振は引き続き悩みの種だ。


2位・ヤクルトも勝ったため、引き続き首位陥落危機は変わらない。大事なカード頭を執念で勝ちきった今、大混戦のV争いを制するためにも課題克服が急がれる。