ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)は20日、最短10日での1軍再登録を見送られた。35打席連続無安打の打撃不振で10日にプロ初の2軍降格。21日からの中日3連戦の遠征メンバーに加わらず、矢野監督は「すぐ上げようと思ってない」と説明した。シーズンは残り29試合と少ないなか、先頭に立っていた新人王争いに黄色信号となった。


最短での1軍復帰はかなわなかった。佐藤輝は19日のウエスタン・中日戦で4安打3打点をマークするなど、2軍では2試合連続マルチ安打と復調をアピール。しかし、矢野監督は「すぐ上げようと思ってない。今みたいに状態を上げていってもらえたら、(1軍に)上げたいなって思ってくると思うんで、その時にまた考えます」。昇格は22日以降に持ち越しとなった。


1軍の舞台から遠ざかるほど、目標の新人王が危うくなってくる。球団新人記録を52年ぶりに更新する23本塁打を放ち、清原和博(西)らが記録した新人最多31本塁打の更新も期待されながらの足踏み状態。一時は間違いなしと思われた新人王レースでもライバルの猛追を受けている。防御率0点台の侍守護神・栗林(広)や、牧(D)が後半戦も活躍。同僚の中野、伊藤将、さらに高卒2年目ながら7勝の奥川(ヤ)と強敵が目白押しで、歴史的なハイレベルな争いになっている。


佐藤輝は引き続き2軍に残り、21日のウエスタン・広島戦に出場予定。「(打撃以外に外野守備でも)新しい技術を教えてもらえる機会だと思うので、いろいろ勉強しています」と怪物ルーキーは腐ることなく、来る日に向け、攻守で力を蓄えている。16年ぶりの優勝を狙うチームは最近3試合で計2得点と打線が低調。ラストスパートには背番号8の破壊力が必要だ。


◆新人王資格と選出方法◆…<1>海外のプロ野球リーグに参加経験がない。<2>支配下選手登録されてから5年以内。<3>投手として前年までの1軍登板が30イニング以内、打者として60打席以内。これらすべてを満たした選手が対象となる。全国の新聞、通信、放送所属のプロ野球担当歴5年以上の記者が1名を記入し、最多得票者が選出される。


◆過去のハイレベルなセ新人王争い


▽59年…現在も新人記録の31本塁打を放った桑田(大)が受賞。18勝、防御率1.19の村山(神)は沢村賞を獲得しながら、新人王を逃した唯一のケース。江藤(中)も打率2割8分1厘、15本塁打、84打点。


▽90年…31Sで最優秀救援投手の与田(中)、13勝17Sの佐々岡(広)、ゴールデングラブ賞捕手の古田(ヤ)が候補に。与田が受賞し、佐々岡には特別賞が贈られた。


▽98年…14勝の川上(中)が受賞。打率3割、19本塁打の高橋(巨)、打率3割2分7厘の坪井(神)、9勝18Sの小林(広)の3選手に特別賞が贈られた。


▽13年…16勝で最多勝の小川(ヤ)が受賞。13勝の菅野(巨)、10勝の藤浪(神)が特別賞を受賞。


▽19年…高卒2年目の村上(ヤ)が36本塁打、96打点で選出。セ新人最多記録159安打で盗塁王(36盗塁)の近本(神)は特別賞。