桑原謙太朗投手(35)が20日、西宮市内の球団事務所で会見し、今季限りでの現役引退を発表した。横浜、オリックス、阪神と渡り歩き、2017年に最優秀中継ぎのタイトルに輝いた苦労人は14年間のプロ野球人生を「優勝」で締めくくりたいと熱望した。今後は未定。球団は引退登板を検討している。


涙は1カ月先?西宮市内で引退会見に臨んだ桑原は惜別の思いを込めて、ナインに『おねだり』した。


「(1軍の救援陣は)岩貞、岩崎両投手がいるので、心配はしていない。ぜひとも(自分が)在籍中に優勝していただきたいなと思います」


2008年の大学・社会人ドラフト3巡目で横浜に入団し、オリックスを経て15年に阪神へ。プロ14年目だが、優勝経験はない。有終の美を飾りたい…という思いだ。


「自分の中では、やり切ったというのが一番です。後悔はしていないですが、(シーズン)最後まで投げきりたかったので悔いは多少残ったかなと思う野球人生でした」


金本監督時代の17年、独特の軌道で曲がるスライダーを駆使して自己最多67試合に登板し、43ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。翌18年も62試合に登板したが、長くは続かなかった。近年は右肘痛に悩まされ、今季は開幕1軍入りするも7試合で防御率9・00。5月下旬から2軍に降格した。「肩、肘ともに痛みを抱えながらやっていく中でどうしても思うようにはいかず、辛く感じたというのが一番の理由です」と明かした。


「不器用ながら、何とかプロ野球にしがみついてきた」と笑った35歳。1軍戦力としてマウンドには立てないが、歓喜の涙で優勝を見届ける。


★よく頑張ってくれた桑原は前日19日、17年当時の監督、金本知憲氏に引退の報告をしたことを明かした。「それまで活躍できず、鳴かず飛ばずだったのに、抜てきしていただいた。『お疲れさま。当時は、よく頑張ってくれた』という言葉をいただきました」。引退会見で、自分を見いだしてくれた恩人・金本氏への感謝の言葉は忘れなかった。