桑原謙太朗投手(35)が20日、今季限りでの現役引退を表明し、兵庫県西宮市内の球団事務所で会見した。「後悔はないですけど、悔いは多少残ったかなと思う野球人生でした。横浜で入団して、オリックスで、阪神さんにトレードで拾ってもらって、活躍できたことが何より良かったなと思います」とすがすがしく語った。

桑原は奈良産業大から07年度大学生・社会人ドラフト3巡目で横浜に入団。10年オフにトレードでオリックスに移籍し、14年オフに再びトレードで阪神に移籍。17年に43ホールドポイントを記録して最優秀中継ぎ投手に輝いた。

最大の武器は直球の軌道から打者の手元で鋭く曲がる『真っスラ』。当時の金本知憲監督は米ヤンキースでカットボールを武器に活躍した伝説的守護神マリアノ・リベラとその姿を重ね、セットアッパーの重責を託した。

近年は右肘痛に苦しみ、今季の1軍戦登板は7試合にとどまっていた。プロ通算242試合に登板して15勝13敗、78ホールド、防御率3・61。『和製リベラ』と称された遅咲きの苦労人は、サプライズで登場した後輩の岩崎に花束を渡され、笑顔で写真に収まった。

「9月の始めに練習試合で投げさせてもらって、ほとんどまともに投げられなかった。もうダメだなと思って決断しました」と引退の理由を説明。金本前監督に連絡して「『お疲れ様。当時はよく頑張ってくれた』という言葉をいただきました」と感慨深げだった。