目指すは『一発』昇格!阪神は17日、1、2軍とも、台風接近により試合が中止となった。不振で2軍調整中の佐藤輝明内野手(22)は、ウエスタン・中日戦が流れたナゴヤ球場の室内で打撃練習。最短10日間での1軍再昇格へ、ゴールデンルーキーがナゴヤの地にアーチをかけることを誓った。


音を立てて吹く風と、横殴りの雨が復活への行く手を阻んだ。ナゴヤ球場での2軍戦は、台風で中止に。それでも、佐藤輝には1軍復帰への道筋がはっきりと見えている。最短での出場選手登録まで、残り2試合。黄金ルーキーが『一発』昇格を誓った。


「そこ(ホームラン)は自分の持ち味なので。そこを出していければ、上(1軍)にも上がれるんじゃないかなと思います」


35打席無安打の不振で10日に登録抹消。16日のウエスタン・ソフトバンク戦では、降格後初のマルチ安打を放つなど徐々に打撃の状態は上がってきた。ただホームランは8月19日のDeNA戦で球団新人記録を更新する23号をマークしてから約1カ月も遠ざかっている。代名詞の豪快な一発が出ないことには、完全復活とはいえない。そのことは誰より佐藤輝自身がよくわかっている。


この日は屋外でアップ後、室内に場所を移して打撃練習。ティー打撃では、スイングした後に左足をけり上げる新たな動きも取り入れた。「いろいろ試しながら、一つの遊びというか。コーチも(1軍と)違うので、新しいことを教えてもらったりしています」。


構えたときのグリップ位置や足の上げ方など、日高2軍打撃兼分析担当コーチと二人三脚で試行錯誤する日々。転んでもただで起きるつもりはない。新たな引き出しを加えながら、レベルアップするために必死だ。



そして、バットを置いてからは自らの打撃映像とにらめっこ。「調子のいい時と今の映像を比べたり。『ここは変わっているな』とか見ながら、いろいろとやっています」。もちろん、夜は優勝争いを繰り広げる1軍の先輩たちのプレーを見て、モチベーションを高めている。


「早く(1軍に)戻ってプレーしたいなと思います」…。戦力として再び1軍の舞台に戻る。ただ、その一心で自分を見つめなおしている。


最短での1軍再登録は20日(巨人戦の予備日)で、21日からはバンテリンドームで中日戦。それまでのウエスタン・リーグは18、19日の中日戦2試合を残すのみだ。ナイターで巨人に勝った2位ヤクルトに2ゲーム差に迫られた1軍へ、1日でも早く戻るためには、この2試合で、首脳陣も納得の結果を残すしかない。


「あした(18日)、あさって、しっかりと打って。そこで上がれるかは分からないですけど、上に行けるために、しっかりとやっていきたいと思います」


長かった暗闇の出口は、もうすぐそこにある。ナゴヤに架ける放物線が、黄金ルーキー完全復活への第一歩だ。


★平田節ハッパ平田2軍監督は、佐藤輝について「気持ちの整理も含めて悪くないし、楽しみだね」と期待をよせた。さらに「掛布さんなんか、4打数3安打でも最後にサヨナラの場面で三振したら『掛布大ブレーキ』なんて(記事に)書かれてたから。それが阪神の4番。そういう中心選手になってほしい」と『平田節』でハッパをかけた。


★ヒットが輝の薬井上ヘッドコーチは、16日に2軍調整中の佐藤輝を直接指導。同日のウエスタン・ソフトバンク戦で2安打したことに、「ヒットが出るということが、あいつにとって一番の薬かもしれない。いい当たりだったということも本人は大事かもしれないけど、それを増やすことで明るい兆しの方向に向かってくる」と話した。ただ、最短10日間での昇格については「いいものを見せてくれて、2軍の監督の推薦があってから考えるというところを考えれば、最短(昇格)は確定ではない」と結果を求めた。