(セ・リーグ、ヤクルト1-0阪神、20回戦、阪神11勝6敗3分、15日、神宮)


実りはしなかったが、神宮で3度の快音を響かせ、希望の光となった。屈辱の完封負けの中で近本が3安打と孤軍奮闘。1番打者として、役割を果たした。


「自分のやるべきことはできましたが、チームが負けてしまったので悔しい気持ちです」


プレーボール直後の一回先頭。小川の初球を引っ張り、右翼線への二塁打を放った。三回先頭では、一塁へのゴロでベースカバーに入った小川と競走になると、快足を飛ばして内野安打にした。


六回先頭でも右前打。いずれも中軸が倒れたため、得点にはつながらなかったが、イニングの先頭でチャンスメークした。これで今季12度目の猛打賞をマーク。2019、20年に記録した自己最多となるシーズン13度に王手をかけた。


開幕直後は不振だったが、シーズンが進むにつれて状態を上げていった。8月26日に打率を3割台に乗せてからは一度も3割を切ることなく、気が付けば同・311まで上昇。この日、順位を1つ上げてリーグ4位につけた。


トップのオースティン(D)はこの日5打数1安打で同・323。近本は142安打でリーグトップに立っているが、安打数だけでなく、3年目で自身初の3割到達、そして首位打者のタイトルも狙える位置にいる。


3試合連続で複数安打を記録するなど、後半戦は打率・372と絶好調。9月も半ばまできており、大事な試合が続く中で、リードオフマンが活躍を続けているのは頼もしい限りだ。17日からは甲子園に戻って中日との戦いが待っている。


「優勝争い関係なく、常に勝つことだけを考えているので、特に意識することなく目の前の試合を一戦一戦を戦っていくだけです」


一戦必勝を誓った近本。16年ぶりのリーグ優勝に向けて、2位・ヤクルトも3位・巨人も再び突き放す。選手会長が先頭に立ち、歓喜のときへと導いていく。