(セ・リーグ、ヤクルト4-4阪神=九回規定により引き分け、19回戦、阪神11勝5敗3分、14日、神宮)

マルテの起死回生の一発で引き分けに持ち込んだ阪神。価値あるドローだが、拙攻の連続を見ていると「勝てたのでは?」の疑問がわいている。西武、阪神でヘッドコーチを歴任した名参謀・黒田正宏氏(73)に上田雅昭が迫った。

上田「九回はマルテが打ちそうな気がしました。優勝を狙う状況で、ヤクルト相手の引き分けは大きいですね」

黒田「四球、四球、本塁打。完全に相手の自滅やけどな。2・5ゲーム差になるところが3・5差のまま。ヤクルトのショックは相当大きい」

上田「ただ、チャンスで凡退の繰り返し。うまく攻めていたら勝てていたのでは?」

黒田「その通り。9回の攻撃で先頭打者出塁が6度。しかも、そのうち4度はクリーンアップに打順が回った。負けていたら、中軸が戦犯。中でも大山。指摘したいのは五回無死満塁からの三振や。あの場面は相手守備の隊形をみても、ゲッツーでもいいから1点を返す打撃が必要だった」

上田「調子が上がってきて、5番にまで打順を戻しているんですが」

黒田「調子、良くないよ。安打は出ていても打点が少ない。そこをどう考えるか。チャンスで力まずに打てるか。今後の課題やね」

上田「雨による中断、頭部死球による投手の退場など、波乱含みの試合ではありました」

黒田「雨の中の試合をもっと考えてほしい。いつも、俺が口を酸っぱくして言ってるよな?」

上田「先制すること。先制されないこと。いつ、コールドになるか分からないですからね。黒田さんの教え、忘れたことはありません」

黒田「そうや。二回の守り。2死一、三塁で打席は8番の元山。阪神ベンチは勝負を選択した。ならば、バッテリーは勝負するにしても絶対に甘く入らないこと。カウントが悪くなったら歩かせるぐらいの配球をしないと。バッテリーは猛省や。個人的にはベンチが次のスアレスで勝負すべきだと思う」

上田「もったいなかったですね。ただ、村上にはよく打たれますね」

黒田「打たれたけれど、青柳、小川の投球は、評価してあげたい部分もある。二、四、六回の打席はすべて先頭打者。逃げて四球ではなく、勝負に行った。村上が外角攻めを読んでの流し打ちなど、読み勝ちだった。読みを外す攻め。これはバッテリーの仕事。次回は期待したい」

上田「でも、気分よく次の試合に臨めますね」

黒田「おう、そやな」