ブラゼルから輝へ…。2009-12年に阪神に在籍し、4年間で91本塁打を放ったクレイグ・ブラゼル氏(41)が米アラバマ州オーバーンの自宅でドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)を『解析』。23本塁打を放ちながら、球団日本選手ワースト151三振を喫し、35打席連続無安打で今月10日に2軍落ちとなった黄金ルーキーへ、同じ左の大砲として「今度は彼が(相手の攻めに)適応する番だ」など、熱くエールを送った。


■始動が早い!「引きつけて」という形が不十分


阪神の結果はもちろん気にしている。先日の巨人戦(3-5日)の映像はネットとかで見た。甲子園も凄い盛り上がっていたなぁ。あの雰囲気は懐かしい。東京五輪は無観客だったから、ちょっと違和感があったけど。もう大丈夫なのか?


(佐藤輝については)普段から見ているわけではないから、はっきりしたことは言えないが、映像を見る限り、いくつか気づくことはある。まず、センスの良さは感じさせる。ルーキーだろ?それでこのレベルなら伸びしろがある。


ただ、最近の打席を見ると、始動が少し早いかな。しかも、ボール球を追いかけるような形になっている。これを見る限り、引きつけて、という形が不十分だ。ホームランを狙っているようにも見えるし、パワーはあるんだから、強い打球を打てれば狙わなくても飛距離が出るはずなのに。


自分にも、こういう時があった。そんなとき片岡(篤史打撃)コーチが『センターから左中間を狙え』とアドバイスをくれた。実際、そういう意識で打席に立っているときのほうが、本塁打になることが多かった。



■体格の割に器用!やはり素質ある


佐藤輝は相手の攻めに戸惑っているというか、翻弄されている。迷い始めると、打てた球も打てなくなり、それによってさらに迷い始める。悪循環だ。そこは序盤に彼が打ちまくったことで、相手が研究した結果。それがプロだ。佐藤もプロなら、今度は彼がそうした攻めに適応する番だ。フォームも少し変わっているけれど、それも、その一過程だろう。


体格の割に器用にも見えるから、今後、さらに楽しみ。やはり素質はあるし、田中将大(楽)から一発、打ってるじゃないか。それが多くのことを物語る。今の佐藤輝は、スランプから何を学ぶのか。そこに尽きるような気がする。


■打撃コーチ志願!?「いつでも行くよ」


今の阪神の1軍にはもう一緒にプレーした選手はいなくなってしまった。藤川球児も引退したし。ただチームメートだった矢野さんが監督だからね。彼は現役時代から本当に野球のことをよく知っているし、どの選手とも壁を作らない。家族のような雰囲気を作れる。監督になって選手とどう接しているかは分からないが、彼なら信頼できると思わせられるような人間。彼の周りにいるのは楽しかったし、だからこそ、もしも、何か手伝えることがあれば駆けつけたい。もし彼が打撃コーチとして呼んでくれれば、いつでも行くよ(笑)。実際、興味はある。


和田(豊)さん、片岡さん、金本(知憲)さん、新井(貴浩)さん、いろんな選手からバッティングを学んだから、それを若い選手に伝えたいと思う。真弓さんとの打撃談義も楽しかった。メカニックのことだけじゃない。日本人投手の攻め方についても、本当に学ぶことが多かった。だから矢野さん、いつでも声をかけてくれ(笑)。


★矢野監督にエール「しっかり勝ちきってほしい」


ブラゼル氏は矢野阪神へ「(日本シリーズ進出への)アドバンテージを取るため、レギュラーシーズンをしっかり勝ちきってほしいね」とエールをおくった。


「日本シリーズへ行く前には、また、巨人が立ちはだかるのかな。2010年のときのように。あの年はファーストステージで巨人に負けてしまったが、あれだけメンバーも揃っていたんだから、俺たちが勝ってもおかしくなかった。短期決戦の恐ろしさだ」


真弓監督2年目の10年は、マートンが当時の日本記録シーズン214安打を放つなどチーム打率・290、チーム本塁打173を記録。優勝した中日と1ゲームで2位となり、3位巨人とのCSファーストステージは2連敗で終戦となった。