(セ・リーグ、広島1-4阪神、17回戦、阪神9勝8敗、10日、マツダ)


スーパー絶好調の4番打者を申告敬遠して、首位打者と勝負…。究極の2択に、あっちで「当然やろ!」。こっちで「アカン!」。ファンがみんなが監督になれる。賛否両論が交錯するのは「正しいプロ野球の楽しみ方」だ。五回2死満塁のピンチ。西勇がしのいで、記念すべき100勝達成。阪神ベンチの判断も光った。


「落とせ!」「落とすな!」。ファンも、百戦錬磨のプロ野球評論家も巻き込んで、賛否両論を巻き起こしていたスーパールーキー・佐藤輝明がついに2軍落ちした。


こんな表現をしたら叱られそうだが、阪神史上最も豪華な2軍降格コンビになってしまった。藤浪晋太郎と佐藤輝。ともにドラフトでは4球団競合でくじ引きの末にタテジマに袖を通したスーパーゴールデンルーキー。こんなところでそろい踏みしなくてもいいのに。


「その2軍には、2球団競合で入団してきた高山もいるんですよね」


昨日の当番デスク席にいた堀啓介も苦笑いするしかない。


2012年秋のドラフト会議は藤浪を引き当てた和田監督がガッツポーズ。15年秋は金本監督が『まさかの入札』で驚かせた高山を的中させた。そして昨年は矢野監督が佐藤輝をビンゴ!3人そろって阪神入団の確率は32分の1かぁ…なんて考えたりもする。3代の指揮官が強運で引き寄せた栄光のドライチたちの、あってはいけない2軍集結だ。


「でも、佐藤輝の場合は1軍でスタメン起用がないのなら、2軍で打席に立つ方が良いでしょう。代打で調子を上げていくのは、ルーキーには難しいでしょうから」


堀デスクの冷静な分析。これに賛同したのは、昨年のドラフト当日から「サトテル番」として密着取材してきたトラ番・原田遼太郎だった。


「かなり前から、2軍に行った方がいいのかなと思ってましたから」


その原田によると、すでにサトテル復活ロードが出来ているんだとか。


「ファームは11日から甲子園で広島2連戦。14日からはまたまた甲子園でソフトバンク3連戦。慣れ親しんだ甲子園ですから、気分よく臨めると思うんです。さらにその先は17日からナゴヤ球場で3連戦。この8試合で調子を戻して、名古屋で待っていたら1軍がバンテリンドームにやってきます(21日から中日3連戦)。これが最短10日での復活計画です」


サトテルを誰よりも応援している原田記者の願望。スケジュールを一生懸命に伝えてくる電話の声に、ウルっときた。


遠い昔に『純粋に応援する心』を失ってしまった「虎のソナタ」筆者は、原田の電話の直前まで、2軍での調整長期化を予感していた。


これで新人最多本塁打31発の更新は難しくなったかなぁ。シーズン最多三振記録の更新は避けられそうか。そこは良かったのかも…と。


いろんな妄想の先で、さらに悪魔が耳元で囁いてきた。


「ファーム新記録の16連勝継続中の阪神2軍に、160キロの剛腕・藤浪と場外ホームランをかっ飛ばせる規格外の男・佐藤輝が加わるんだぞ。すごい補強や。これでファーム優勝へ一直線」


いやいや。首を振って、原田の夢プランが現実になることを信じよう。再昇格は再び藤浪と一緒に…。私も心を改めてます。虎党のみなさまも、祈りましょう。