◆パ・リーグ◆ロッテ0-1日本ハム=延長10回=(17日・ZOZOマリン)


歴史的快投が続くロッテ・佐々木朗希。評論家の藤川球児氏が投手の目線で日本ハム戦を分析した。


ロッテの佐々木朗は2戦連続の完全試合の可能性がある中、8回で降板した。この現場の判断にうなずいた。独特の緊張感に包まれたマウンドに立ち、満員の観衆の視線を一身に集め、その上でプロとしてのあるべき姿を披露していた。それだけに、102球という球数以上の疲労感が見て取れた。終盤に入ると背筋を伸ばしたり、体を脱力させたりするしぐさもあった。


もちろん、9回を投げること自体は可能だったが、彼はまだホップ、ステップの段階だ。1年間、先発ローテーションを守った経験がない。井口監督も故障防止を念頭に、登板間隔を空ける時期を設ける考えを示している。プロ野球をショーと捉えるなら、完全試合がかかった状況での交代に疑問を抱く人もいるかもしれないが、今は一人一人に適したアプローチをかける時代だ。自分が判断する立場でも間違いなく代えていた。


疲れがたまった状態での投球はフォームを崩す原因にもつながる。長い四肢をダイナミックかつコンパクトに使え、体の軸がぶれない点が彼の制球力の秘けつ。だからこそ、8回の最後のようなコンディションで投げ続けて体が悪い形を覚えてはいけない。それがきっかけとなり、痛い箇所が出れば、おのずと痛くない投げ方を探してしまい、バランスも保てなくなる。


ピッチングは重圧すらも超越する能力を発揮している。打者が嫌がる配球といった『枝葉』も必要ない。とはいえ、多くの選手が佐々木朗と何度も対戦したわけではない。今後、打者の対応の仕方が極端に変わったり、夏場以降にどうなるか。それがプロ野球の難しさ。時間をかけて成長してもらいたい。