◆JERAセ・リーグ◆阪神2-1巨人(16日・甲子園)

観衆が今季両リーグ最多で、19年9月以来の4万人超えとなった甲子園で、待望の今季初の連勝だ。来日デビュー戦のウィルカーソンが6回3安打1失点で初勝利。6回に1点差とされた後も1死一、二塁から丸と中島を打ち取り、ガッツポーズを決めた。俳優のキアヌ・リーブス似のイケメンはお立ち台で「こんなにたくさんのファンの前で投げられて本当にうれしい」と感激。「タイガースファン、愛してる」と日本語で挨拶した。

球団の新外国人が初登板初先発初勝利を巨人戦で飾るのは4人目で、甲子園での達成はウィルカーソンが初だ。2回から5回は無安打に抑えた。4回には、米球界で本塁打を許したポランコからも空振り三振を奪った。「(6回に)安打も打たれたけど自分の勝利かな」。140キロ中盤の直球、チェンジアップ、スライダー、カーブを低めに決めた。矢野監督は「低めも、両サイドもある。大きな力になってくれる投手」と絶賛。藤浪、伊藤将が新型コロナに感染して窮地の先発陣に救世主が現れた。

メジャーでは通算14試合で1勝。大学時代に右肘のトミー・ジョン手術も経験した。野球を諦めかけたが、食品会社で勤務し、独立リーグでもプレー。「トラブルのない人生はない。努力して日本で投げられることは恵まれている。(苦難を)乗り越えたからこそ」と新たな一歩をかみしめた。コロナ禍のなかで来日した妻と2人の子供も見守る前で「集中するために、なるべく家族を見ないようにしているけど、たまに顔を見て笑顔を見ると幸せ。この旅は自分だけの旅じゃない」と躍動した。

開幕から7カード目で初の勝ち越しは球団史上最も遅い。まだ借金も12あるが、矢野監督は「(連勝を)3つ4つとして、結果的にビッグウェーブに」と宣言。ついに逆襲のムードが高まった。