◆JERAセ・リーグ◆阪神4-1巨人(15日・甲子園)


阪神は投打の顔が仕事を果たし、今季初のG倒で連敗を6で止めた。2試合連続の2番起用となった佐藤輝が、1点を追う5回2死二塁で菅野から右翼へ逆転の4号2ラン。新型コロナウイルス感染で出遅れたエース・青柳は、今シーズン初登板で8回7安打1失点の快投を見せた。18試合で2勝15敗1分け。8試合ぶりに勝率を1割台(1割1分8厘)に乗せた。


爆発音のように歓声が球場に響いた。6回の守備に就くまで、佐藤輝には大きな拍手が送られた。1点を追う5回2死二塁。カウント2-2から菅野の7球目、低めのスライダーを右翼ポール際に運んだ。逆転劇のヒーローは、巨人のエースから対戦10打席目で一発をかました。「菅野さんから打ったことなかったので、初ヒットっすよね?うれしいです」。12打席ぶり4号2ランで、8戦ぶりの今季チーム2勝目に導いた。


『沈黙打線』が本拠地で息を吹き返した。セ・リーグワーストの開幕9連敗を止めても、1分けを挟んで6連敗と泥沼。球団最長の開幕6カード勝ち越しなしで借金は14まで増えた。10年ぶりに5試合連続1点以下と貧打にあえいだが、2戦続けて2番に佐藤輝を置いたことが功を奏した。「やっぱりテルが打つとね。ムードを変える力を持った選手」。ベンチでは笑顔の矢野ガッツが飛び出した。


試合前には、監督と親交のある文字職人の杉浦誠司氏が訪問。漢字一文字が書かれた365枚の札を首脳陣、選手ら全員が引いた。指揮官が引いたのは「波」。その文字とチームに贈られたメッセージ色紙を受け取り、円陣では異例の声出しを務めた。「俺らの野球を楽しむ。そういう野球を全員でやりましょう!」とナインを鼓舞。熱い言葉に佐藤輝は「監督が声出しして、試合前の雰囲気もちょっと変わった。いい結果につながったので、明日も声出しお願いします!という感じです」と笑った。


チームは、2勝15敗1分けで勝率1割1分8厘。1割台に乗せたのは5日に今季初勝利して以来だ。「あと1球」コールが起こり、勝った直後は虎ファンが総立ちに。「力はあるので、みんなが実力を発揮できるように、いい空気をつくってやっていきたい」と佐藤輝。主砲のアーチが、長くて暗いトンネルから脱出する光になった。