おうちでキャンプ、見せます!矢野燿大監督(52)が20日、12球団監督会議後にオンライン取材に応じた。球団は同日、2月1日から実施する春季キャンプを当面の間は無観客とすると発表したが、指揮官は「逆に、新しい楽しみ方とか伝え方というのも出てくる可能性は十分ある」とピンチをチャンスに変えるつもり。選手のこだわり、素顔が伝わる『密着カメラ』などの企画を次々と打ち出す。

◆密着カメラで「すごく近い映像」

その目はもう、できること、楽しそうなことだけを見つめていた。無観客の、誰も経験したことがない2月。『おうちキャンプ』になる人々へ、見せまくって魅せる…。矢野監督の頭脳は早くもフル回転していた。

「逆に、そういうときだからこその発見というか、新しい楽しみ方とか伝え方というのも出てくる可能性は十分にあると思う。球団も頑張ってやってくれると思いますし、僕たちも何かあれば、そういうものは発信、アイデアを出していきたい」

苦しい、寂しいどころではない球春の訪れだ。照りつける陽の下、泥と汗にまみれて白球を追おうにも、当面の間は背中を押してくれる声援がない。

それでも、虎将はまず「受け入れる方々も、本当に大変な思いで受け入れてもらえると思う。そういった方々に感謝をして、去年も気づけたことですけど、野球をやれるっていうのは本当に当たり前じゃないので」と深く感謝した。そして、『おうち時間』にもテレビ、スマートフォンでキャンプを見つめ続けてくれる人たちを思って、泉から水が湧くように構想をあふれさせた。

「もしかしたらすごく近い映像でね、普段映ってないようなところがお届けできればという可能性も、今言われてふとそういうのが思い浮かんだり」

例年のCS放送などの中継カメラでは入り込めなかったような『内部』の公開も示唆。さらに「誰々グラブ、例えば『近本やったらこのグラブのどういうところにこだわっている』とか、そういう話も面白いのかなと。道具、バットとかそういうところにも興味ある方も多いと思うし」と、プロのこだわりに迫る企画でツウなファンもうならせるアイデアも披露した。

「部屋で何しているんですか?っていうね。そういうのは見えない部分なんで。逆に言うと見えない部分が見えるようになる可能性は…」

もちろんはすべてがまだ構想で、実現できるとはかぎらない。だが懸命にシーズンに備える選手らの覚悟、日々の息づかいを伝える方法は、必ずあると信じている。

この日は12球団監督会議に出席し、ほかの指揮官たちと、画面を通じてではあるものの顔を突き合わせた。

「パソコン越しではあるけど、みなさんの話をそれぞれ聞いたっていうのは始まるなっていうのに近づいているしね。『よし、やってやるぞ』って気持ちはやっぱり高まってきた」

戦いを、勝利を楽しみにしてくれている人たちがいる。関西から約1100キロ離れた沖縄・宜野座から、できることは何だってやる。このピンチも、選手をこれまで以上に近い距離に感じてもらうチャンスに変えてみせる。