糸井嘉男外野手(38)が13日、大阪・梅田の「大阪ステーションシティ5階・時空の広場」で行われた「梅田スノーマンフェスティバル2019」のトークショーに参加。共演したまな弟子のオリックス・吉田正尚外野手(26)から「打率3割、20本塁打超え、打点キャリアハイ」と、39歳シーズンでの『スーパーな自己ベスト』を求められた。


さすがの超人もスノーマンのように凍りつき、頭が真っ白になった!?イルミネーション輝く巨大駅の中心で、この師弟だからこそ可能な、恐ろしく高いレベルでの軽妙なやり取りが行われた。「吉田正が糸井に来季期待すること」に話題が及ぶと、かわいい後輩は想定外に次から次へと『注文』をしてきた。


「シーズン通して1軍に。けがでというところもあると思うので、来年は完走して。結果として3割はずっと打っているので。ホームランは…」


ここで糸井が「言わんでいい」と割り込み、吉田正の口をふさごうとした。大阪駅に設けられた幻想的な会場がドッと沸いた。だが、誰より超人の力を知るからこそ、12歳年下の後輩は遠慮なく、そのあとを続けた。


「調べたら20本以上がまだないんですね。だからやっぱり『20』。スタイル変えて、ロングヒッターで。やっぱりキャリアハイというのを。年齢でもキャリアハイを目指していってほしい」


注文に次ぐ注文。シーズン終盤の離脱も、本塁打数も『下調べ』されていた。ともに切磋琢磨してきた男から、こうも真正面から求められては仕方がない。糸井も力強く「はい!分かりました!!」と二つ返事だ。39歳シーズンの来季、超人は己のすべてをもう一度超える。後輩と、約500人の観客に誓った…。


糸井のキャリアハイは打率・331、19本塁打、81打点(すべて2014年、オリックス在籍時)。吉田正は、すべてを上回る『スーパーな糸井』になることを求めている。まだまだ一緒に、さらなる高みを目指したい、という心意気の表れのようでもあった。


ルーキー年の2016年のみ糸井とチームメートだった吉田正は、18年に初めて規定打席に達すると、2年連続で打率3割を超え「26→29」と本塁打数もグングン伸ばしている。今季終了まで2年連続で全143試合に出場中。今年1月にもともに自主トレを行った糸井や柳田(ソ)の背中を追いかけ、ひたむきに歩む。


契約更改後の会見の席で、優勝など、多くのことを「ジャッカルしたい!」と言い切った糸井とて、虎のためにも『自己ベスト』が必要なことは百も承知だ。この日の最後も壇上で、誓った。


「来年、優勝したいと思っているので、すべての力を出せるように頑張ります」


雪だるまも溶けるほど今からアツい。まな弟子とファンの期待に応え、糸井がすべて出し切る。


★近本と張り合う糸井は新人ながら盗塁王に輝いた近本との『共走』にも意欲を見せた。自身もオリックス時代の2016年に53盗塁で同タイトルに輝いているだけに、司会者から「ともに走れば相手の脅威になりますね?」と尋ねられ「(近本と)張り合えるように。僕も(年齢が)『40前』なので。頑張ります」と頼もしく語った。今季は2007年以来の1桁盗塁となる「9」に終わった。通算297盗塁の超人が、新星に負けじとリスタートを切る。