「未来惑星ザルドス」 | シマ猫弾薬庫/紛争まっただ中

「未来惑星ザルドス」

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『未来惑星ザルドス』1974年・英

監督・原作・脚本・製作:ジョン・ブアマン

撮影:ジェフリー・アンスワース

音楽:デヴィッド・マンロー
 
出演

●ショーン・コネリー

(獣人、ゼッド)
  
●シャーロット・ランプリング

(ボルテックスの指導者、コンスエラ)


●ナイオール・バギー(ザルドス操縦者、アーサー)


●サラ・ケステルマン(生物学者、メイ)


●サリー・アン・ニュートン(精神的指導者:アバロウ)
  

●ジョン・アルダートン(フレンド)


●ナイオール・バギー(「ザルドス」の考案者:アーサー・フレイン)


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【作品の設定】

2293年の未来の話

地球は荒廃し、一部のエリートたちが集まる『ボルテックス』の世界と

『アウトランド』(外界)とに分かれていた。

外界の人間は『獣人:ブルータルス』とされ、抹殺の対象である。

抹殺は『偶像神:ザルドス』の命により抹殺隊が行う。

ボルテックスは「不老不死」で、抹殺隊の者たちは

「死後、ボルテックスに行き『平和な時を過ごす』」とされていた。

しかし実際にはボルテックスには

『無気力人間』といった労働不能の人間が溢れかえり

また、人間が死ねないために『生殖は不要』となり


住人たちは『生殖できない人間たち』となっていた。


いくつかあるボルテックスは「生産能力」が不足し


外界で小麦の作付けを行わせていた。


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【プロット1:ボルテックスという理想郷】

作品冒頭、空より地上に『ザルドスの神』が飛来する。

飛行する石仏の頭部って感じですね。(`・ω・´)b



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地上に降りた『ザルドス』の石像



周りには『ザルドス』により『選ばれた』獣人抹殺隊が歓喜しながら集まった。


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獣人抹殺隊は『ザルドスのマスク』をかぶるものもいる。


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石像からザルドスの声がする。


『ザルドスは選ばれし民である、汝らに語る。

ザルドスは汝らに銃を与える。

銃は善なり。性は悪なり。

性は種を蒔き、人間どもの業をはびこらす。

銃は人間を殺し、地上を清める。

殺せ!獣人たちを殺せ!!』



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石像の口からは銃が吐き出され、抹殺隊に与えられた。


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ここで主演のコネリーさん登場!!ゼッドという役柄です。


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ザルドスの石仏は外界から収穫された小麦を


集め(搾取ですな)ボルテックスに戻る。


ゼッドはある日、外界から収穫された小麦


に紛れて石仏内に侵入した。


石仏には小麦とともに封印された人間の身体が運ばれている。(再生中の人間とな)


石像の中でゼッドは男と遭遇する。


ゼッドは男を銃で撃ち、男は飛行中の石像から落下する。


男の断末魔『お前は1人では何もできないんだぞ~|!!』


後にこの男は「ボルテックス4」の重要人物であるアーサー・フレインであることが


分る。


アーサーはこの「外界の獣人を殺さずに小麦を作らせ、集めるシステム」を構築していた。


(獣人たちは肉食で小麦は消費しない。)


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侵入したゼッドはすぐに「住人」の「脳の力」(サイコパス?)により捕らえられた。


そして記憶を探られる。


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彼の記憶には「農耕」の映像があった。

外界での「小麦の収穫」はボルテックスには必須だった。

また獣人撲殺隊のみが生殖を許されていた。


ボルテックス4の住人の指導にあたるコンスエラの言葉


|‐∠‐∥『外界の人間が減らない理由がわかったわ』


外界の支配統制はアーサーの仕事であり、

実はアーサーの目論みで『ゼッド』という人物が造られていた。

ゼッドは何代かにわたる遺伝子操作により造られた人間の1人だった。

「頭脳、身体の能力でボルテックスでの住人を上回って」(メイの言葉)いた。



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(「生命力」をもつ外界の男、ゼッドの存在に興味津々の女性たち)


ゼッドに対する評決が行われた。

抹殺を主張するコンスエラだったが

「もっと研究してみよう」「おもしろい」という声が大勢となる。

ゼッドは『研究対象』として『生存の猶予期間』が与えられた。

生物学者:メイが彼を観察、研究することになった。


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アーサーの友人だという「フレンド」はボルテックスの仕事を

ゼッドに手伝わせながら、この地の実情を説明してやった。


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『隔離されている』「無気力人間」たち。

フレンド「ここが増えて仕方がない。彼らを生かすために外界で小麦を生産させている。」

また、『ボルテックス』の仕組みやその存続に反意を唱えるものや

疑問に思う者は『永遠に老いる』という懲罰のための施設に送られていた。


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【絶対理想社会の実現とその破綻】

究極までの理想を突き詰めた『理想郷』

ここは優秀なる頭脳を持つものだけが選ばれた世界。

「不老不死」を実現し、事故が起きてもすぐに

不意の死亡者を回収;再生するシステムが完備している。

『外界』の劣等人種である獣人を抹殺し、

または統制して『搾取すべき植民地』として支配している。

ここは『生殖なき完全な成熟世界』であり

『生物としての人間』ではなく『人間という固定の存在』を恒久化した

理想郷ではある。

しかし、その理想は破綻しかかっていた。

まったく変化のない世界には『無気力人間』がはびこり

『反対者』『異論者』への思想統制を強化せざるをえなくなっていた。

『ボルテックス』の創設者さえも『懲罰のために』隔離された

『老人たちの村』に幽閉されて永遠に老いるという罰を受けていた。

すべてはこの世界の終末を示していた。


***【プロット2:迫り来る終焉】*****



メイがゼッドに『性的な欲情を覚え』


またゼッドが反抗的に暴れ、サイコパスにも耐えたたことから


ボルテックスにとって危険な存在とされたゼッド。


コンスエラに『抹殺すべし』とされるが


精神的(宗教的)指導者アバロウは『私たちを解放する存在』とみなし


逃がす。



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逃亡するゼッドが入り込んだ『無気力人間の村』

ゼッドとの接触(汗という体液をなめた)で『生命力』を受けつぐ村人たち。

生殖可能となり、欲望にふける。


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ボルテックスの住人の頭脳には小さな『クリスタル』が埋め込まれ

それを『大きなクリスタル』で」情報集積・分析し、

その中心にインプットされたプログラムでボルテックスを操っていた。

しかしながら、そのプログラムはそれまでの知識・論理・科学の集積であり

それ以上の発展、発達のないものだった。

メイやフレンドたち『ゼッド』を『ボルテックスの解放者』として認める少数派は

ゼッドと『知識の交流』をする。

全ての人間の知識がゼッドに授けらた。

そのことでゼッドは完全な解放者となりえる。

ゼッドは『大きなクリスタル』をアバロウから与えられた。


ゼッドはクリスタルの中のシステム「タバナクル」と対決する。


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『タバナクル』は存在しながら

存在しない、精神上の支えであり、

知識、経験すべての集積体である。

住民すべてとつながり、データの集積と発信を行う。


(`・ω・´) ある意味『神』のことですな。


****【プロット3:殺戮】***


タバナクルという『神』との戦いを終えたゼッドもまた

死にかけていた。

追跡しながらも『ゼッドへの愛』を確信したコンスエラは

彼に命を与える。


ゼッドはコンスエラ、メイたちと

ボルッテックスの創設者のもとへ行く。

老人は死にかけていた

(老人の独白)『ボルテックスは自然の秩序への挑戦で冒涜だった。

自然は我々を滅ぼさなければならなかった。

自然は君を遣わした』

老人は死ぬ事ができたのだ。


周りのものは『死』を目撃し、驚嘆する。


ゼッドの存在を受け入れたことで


ボルテックスは『死のある国』となった。



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公園の中心にアバロウは立って住人に説く。


『死が近づいている。今こそ解放の時・・・・。

分かれの時です・・・・・・』


住人たちは死を望む。


再びアーサー(再生を終えた)がゼッドの前に出現した。


アーサー『君の何代か前から君を造り上げた。

私が君をここに導いたのだ』


ゼッド『君は君自身を育て導いたのさ』


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その時、石像に乗ってやってきた『獣人撲殺隊』による殺戮が始まった。


喜々として死を迎える住人たち。


殺戮を逃れ、ゼッドはコンスエラとコミューンのはずれの

洞窟に。


ゼッドの仲間は『ゼッド~!!』と叫び彼を探す。


しかし彼は仲間の元には戻らなかった。


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ゼッドとコンスエラという一対の夫婦の出産、育児と夫婦の老い

そして死を示すラストで映画は終わる。


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『zardoz』は『wizard of oz』から。

オズが魔術師のいかさまと同じく

『ザルドス』という神は『獣人』を支配するためのいかさま。

まあ、そもそも『神』はその時その時の支配者によく

利用されるべきものですから。

いろんな新しい神ができるのも、そういうことですね。

最近だと目的は『資金あつめ』だったりするんですが。


『ザルドス』での神『タバナクル』はそれまでの

知識、倫理観、常識といったものの集合です。

なまじ完成しているために進歩とか発明とかという

要素はないわな。



(`・ω・´) つまり、そこは『閉鎖空間の理想社会』ってことね。

またいったん、こういう世界が成立すると

『破壊して次のステップに』って歴史の繰り返した

『文明破壊、再生のプログラム』ができないわけです。

反逆者はそこから排除されるわけですから。


アーサーは『閉ざされた空間』を破壊すべく

ゼッドの誕生から成長、『本を読ませて』知識を与えること

そして『ザルドス』の秘密である『オズの魔法使い』を読ませることをします。

そしてゼッドを遂には『石像』に侵入するまで導く。


(メ▼.▼)y-.。o○ 手がこんでるわな。

内部からの改革よりも外部からの侵略による破滅を導いた方が

速いってことね。


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この作品ではランプリングさんの若い頃が見れるってのは(´ω`)b グッドではある。


ゼッド追跡中のパンツ系の衣装が似合ってた。

細いながらもヌードも見れます。



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ところで『恐るべき』老人社会に陥った日本って


自然に『軌道修正』ありですか?


それとも外部の力が必要??(。◇。)??


また『新しい形』での神が必要なのか??