「ビスマルク号を撃沈せよ!」 | シマ猫弾薬庫/紛争まっただ中

「ビスマルク号を撃沈せよ!」

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1



「ビスマルク号を撃沈せよ!」

(1959年 米 監督:ルイス・ギルバート 

原作:C・S・フォレスター 

脚本:エドマンド・H・ノース 出演 ケネス・モア ダナ・ウィンター  カール・モナー)

(^・x・^)y─┛~~~~ 最近の『お若い』映画ファンには「ミニチュアやんけ!」とか言われそうですが『1959年にタイムスリップして、お前が撮ってみんかい!!ミニチュア以外の撮影方法ないぞ!!』とあらかじめ言っておくことにする。

 CGもなんにもなし。「ビスマルク甲板」・「同じくブリッジ」の撮影シーンは残っていた英国戦艦を使用されたということで撮影陣の苦労に頭がさがります。
 

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1939年2月14日進水した「ビスマルク号」


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進水式風景が冒頭紹介されます。進水式には『ビスマルク宰相の孫娘さん』が出席。


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「ビスマルク号」大戦中の戦艦としては最も美人と言われてます。

 
●第三帝国の科学力の粋を集めた戦艦ビスマルクは、優秀な戦艦でした。総合的な艦隊戦とか海軍力では英国にはかなわないドイツ海軍だったが、世界各地に海軍力を分散せざるを得ない英国海軍と違い、限られた戦闘海域に海軍力を集中できる部分、独海軍の方に分がありました。

 しかしながら緒戦こそ有利だったものの、そこは艦船不足。そこでいわゆる『通商破壊戦』で英国の補給路を断つ戦略がとられます。

こうしてUボートを含むドイツ艦船が北大西洋の英国輸送船団にターゲットを絞った攻撃作戦が展開されます。

ビスマルク号も1941年5月21日、リュッチェンス提督(ちょっと時代遅れな提督で、部下のリンデマン艦長など苦労させられます)の指揮下、僚艦の重巡プリンツ・オイゲンを引き連れ大西洋の猟場へと出撃します。

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リンデマン艦長

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リッチェンス提督

( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆

物語はこの時から、最後までをドキュメントタッチで描いています。

主な視点は『英国海軍省の作戦司令部からのシーン』です。新たに司令部付きの作戦将校となったシェパード大佐を中心に描く。


●●「ドイツ艦2隻がカテガット海峡を巡行中!(ストックホルムより)」の電報をうけとり、英国海軍省は色めきたつ。


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ビスマルク号最後の航海出撃

『ビスマルクか??』『ノルウェーの工作員に調査させろ!!』『占領下です。危険です。』『構わん、今後の戦局の行方にかかわることだ・・・・。』

ノルウェーの工作員は『ドイツ艦はプリンツ・オイゲンと・・・・』命がけの無線を送信直後に射殺される・・・・・。

英空軍機スピットフィアヤ-からの写真はまさに「ビスマルク号」その姿だった。


海戦場面の見せ場は、前半部の(独)ビスマルク&プリンツオイゲン 対 (英)フッド&プリンスオブウェールズの巨艦同志の海戦シーン。

ビスマルクの放った一撃により、弾薬庫を直撃された英艦フッドは、僅かに生存者3名のみを残して轟沈(まさにこの表現がピッタシで目撃した僚艦の士官が( ̄Д ̄;)でした。)

完成前で民間の造艦スタッフを乗せたまま参加したプリンス・オブ・ウェールズも直撃弾を受け、大きな損傷をうける。(戦線離脱)


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フッド撃沈!


この段階でノルウェーに帰港しての『補修と給油』を進言したビスマルク艦長は、リッチェンス提督に『却下』されます。史実によると、交戦中に3発の砲弾を受けたため、修理に2時間かかりフランス港にまず僚艦プリンツ・オイゲンを先行させてから、自らもフランスを目指すことを決断した模様です。

作品では最後まで、第三帝国の『栄光と威信』の亡者となった当時者として司令長官リュッチェンス提督が描かれてます。

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(日本海軍の海戦と同様で、大戦中の海戦では、司令官の作戦で『勝敗が決せられる』例が多い。作品内では典型的なボケ提督ですな。)*史実ではけっこう判断に間違いはない感じです・・・。

*****リュッチェンス提督 ビスマルク艦内放送にて*****

戦艦ビスマルクの戦士諸君!君たちは大きな名声を得た!

巡洋戦艦フッドの撃沈は、軍事的のみならず精神的な価値があったのだ。

というのも、フッドはイギリス人の誇りであったからだ。

現在敵は戦力を集中し、その矛先を我々に向けつつある。

しかし私はきのうの午後、プリンツ・オイゲンを解き放つことに成功したため、彼は自分の商船にたいする戦いを全うすることができる。

彼が目前の敵からうまく逃れることに成功した一方、先に負った傷のために、我々はフランスの港に向かうよう命令をうけた。

敵は我々の進路上に集結しつつあり、戦闘は免れないだろう。ドイツは諸君とともにある。

そして我々は銃身が焼きつくまで、砲弾を撃ち尽くすまで戦おう。我々戦士たちにとって今は勝利か死のどちらかなのだ。

(損傷度合いを含めて微妙な状況を把握していた。しかし、まだこの段階での損傷はさほどではなかった。フランスではなく、ノルウェーに帰港したなら、違う局面となっただろう。)


●●●『ビスマルクを撃沈せよ!』チャーチル首相の下した絶対命令。

あらゆる地点から「対ビスマルク号」海戦に集結させられる英国艦。

中盤は英国駆逐艦による夜の魚雷攻撃と空母アークロイヤル艦載機「ソードフィッシュ機」による迫力の航空雷撃戦。(連絡がうまくいってなくて、英艦シェフィールドを攻撃するシーンもありです。信管がダメだったので被害なしでしたが。)

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双葉機ソードフィッシュ あまりに速度が遅くて独メッサーシュミットは撃墜できなかった模様です。

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英国空母アークロイヤルからの出撃だ~!

このソードフィッシュ機の雷撃の一弾が舵を破壊し、ビスマルクを航行不能に陥れます。

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★ソードフィッシュからの魚雷が操舵室に命中!

★これで航行は事実上不能に(回遊航行のみ)

★傾斜12度。7ノットの速度制限



リュッチェンス提督はドイツ本国に打電

「本艦の作戦行動は不可能となった。最後の砲弾まで打ち続ける。ヒトラー総統万歳!」

( ̄- ̄)ノ☆ ハイルヒトラ-☆



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英国駆逐艦隊
引き続いての攻撃は5隻の駆逐艦隊。夜戦となったために砲弾・魚雷はほとんど命中しなかったという。


操舵不能となったビスマルク号は英国艦隊に捕捉される・・・・・。まずは夜戦での駆逐艦隊。

そしていよいよ英国艦隊の主力が集結した。


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戦艦キングジョージ5世号

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戦艦ロドネー

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重巡ノーフォーク

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重巡ド-セットシャー

そして終盤、英海軍戦艦キングジョージ5世以下の艦隊に包囲され集中砲火を浴び、遂に1941年5月27日、大西洋の波間に姿を消すビスマルク・・・・・。


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ビスマルク号の最後:撃沈とも自沈とも言われている。

英国海軍省では『すなおによろこべない雰囲気がただよっていた・・』

ビスマルク号たった一隻に対して、英国本国艦隊や輸送艦隊護衛についていた艦船が集結していたからだ。

(ちと、騎士道精神には反しているかな)


( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆

『ビスマルク号!貴艦の健闘をたたえる・・・・・』


『友軍機が応援にくる・・総統は約束されたのだ・・』リュッチェンス提督が最後まで握り締めていた、ヒットラーからの電報には『緒戦の祝電』だった。リンデマン艦長が「宝物だったんだな・・・」と呟くシーンが印象に残ります。

ほぼ史実どおりのドキュメント風に映画がつくられています。海戦ファンにはおすすめといえますな。

シェパード大佐と司令部付きの女性士官の恋を少し盛り込んだりして、ここは少し不満ですが。

シェパード大佐の息子さんもアークロイヤルの艦載機の機銃手として参戦されていて、そのエピソードも盛り込まれます。

*なお、ビスマルク号の海底探査をおこなった研究者によると、魚雷攻撃はほとんどビスマルクの厚い鋼板にさえぎられていた。ほとんどの被害は砲撃によるものだったそうです。大和もこういう艦隊戦なら戦果をあげられたかも??*

大独帝国海軍の旗艦ビスマルク号に敬礼する。

( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆( ̄- ̄)ノ☆




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英海軍の司令部はずっとこんな感じでした。