Chaper1 初頭思考

カシバ@ジョイネット on Twitter: "#男の子のイラストだけで興味を持ってくれる方へ届け びんじょりたい  https://t.co/ZW8miDPBRe" / Twitter
 

幼いころの記憶を辿っていくと、自分の事を他人事のように考えていた幼少期を送っていたような気がします。自分は確かにそこに存在するのだけれど、自分はそこには存在しない。そのような感覚です。父と母は仕事で忙しく、祖父や叔父、叔母に育てられた記憶があります。

もちろん、両親は私の事を大切にしてくれていたようですが、愛情が感じられなかったのでしょうか。叱られるということに極端に怯え、叱られないように誤魔化しながら過ごしていたのを覚えています。

田舎の古い町ではよくあることのようです。何が正しくて、何が正しくないのかは、わたしが決める事ではなく家でだったのです。つまり、祖父なのです。祖父のいう事は絶対で、絶大なる権力を持っていました。両親はその祖父や祖母のことをよく思わなかったようです。当然と言えば当然でしょう。そこに自由はなく、奴隷のような扱いだったからです。そんな環境下で育ったわたしは、やがて自由を求めるようになります。

 

 

 

Chapter2 種蒔

男の子イラスト 可愛い[84182477]|完全無料画像検索のプリ画像 byGMO

 

自由になるという事を求め始めたのは、忘れもしない9歳の時です。父親の海外転勤のため、実家を離れることになったのです。。わたしのとって、これが人生の転機になったのです。両親は私に対して日本を離れることを申し訳なく思っていたようですが、全くの反対で大歓迎でした。

自由な世界が待っているのだと胸を膨らませていました。しかし、幼い私にとっては現実は厳しいものでした。わたしは頭が非常に悪いのです。学校の勉強や音楽、芸術、運動全ての分野において、得意と言われるものは何一つとしてあった記憶がないのです。少しだけ得意だったのは算数でしょうか。それ以外は空っかしダメでした。そんなわたしですが、両親の教育がよかったのでしょうか、行動に対して注意をされることは多々ありましたが、成績の事や運動、音楽、芸術に対して否定をされたことは全くありませんでした。

自分自身では「どうしてわたしは何もできないのだろう?」と、小さい子どもながらに悩みながら毎日を過ごしていた記憶があります。自由とはこんなにも不自由なものなのかと。

 

 

Chapter3 発芽

 
紅茶派の男の子のイラスト - くらげのゲームイラストブログ

大学生になり人生初めてのサークルに入ります。ユースホステルです。他の大学と合同キャンプをするという名目だが、実際は合コン部のようなものでした。大学の入学当時に勧誘されサークルに入るという、よくあるパターンです。しかし、入部して半年程度で辞めてしまいます。わたしは人間づきあいが非常に苦手なようだということに再確認させられてしまうのです。

どうも大勢の人間といると疲れてしまうようなのです。ひとりで考え事をしている方が向いているようなのです。数少ない集まりメンバーとは、夜な夜な悪い事をして遊んでいました。全く、冴えない大学生活を送っていたのです。

そんな中、小遣い稼ぎのためにアルバイトを探し始めました。コンビニのアルバイトの面接を受けますが、ことごとく不採用が続きます。コンビニのアルバイトって落ちる奴いるのか?と思うかもしれませんが、わたしは未だに採用された経験がありません。

どうしようかと途方に暮れていたとき、家庭教師の案内を見つけました。『小学生の算数指導できる方募集』というものでした。算数や数学は少しはできるのではないかと、恐る恐るダメもとで応募してみると見事採用されたのです。

指導初日、わたしは身なりと言葉遣いだけは失礼のないようにしようと、自分なりに考え訪問しました。そしてその家庭が、快く迎えてくれたことをすごくよく覚えています。授業をして帰宅する際、毎回保護者の方から感謝の言葉を頂きました。

しばらく、その家庭の家庭教師を続けたある日、保護者の方がわたしにクリスマスのプレゼントだと手編みのセータをくれたのでした。理由を聞いてみると、子どもが先生の事をすごく気に入っているので、セーターでも編んでプレゼントしてあげたら喜ぶんじゃないかというものでした。

何が起こったのか全く分からなかったのですが、すごく嬉しかったのを覚えています。コンビニで不採用が続くという奇跡がなければ、家庭教師という選択肢はなかったのかもしれません。この失敗がわたしにとって大きな自由をもたらすことになるとは思ってもいませんでした。

 

 

Chapter4 成長

 
目つきの悪い男の子のイラストを完成させる - 500枚チャレンジ

家庭教師をきっかけに、勉強を教えることに興味を持ったわたしは、塾講師の道を考え始めていました。ある学習塾の募集を見てアルバイトをしてみたいと思うようになりました。採用試験受かるのかな…?特に勉強が得意というわけではなかったので心配でしたが、結果は採用とのことでした。

ただし、講師の人数が足りていなかったので、点数は見ないで、面接採用という事だったらしいのです。点数はよく覚えていませんが、中学生の内容のテストで、英語が40点?数学が70点?程度だったらしい…。普通だと当然不採用です。たまたま、講師不足だという条件が加わって運よく採用されたらしいのです。

その学習塾は一斉指導の学習塾だったため、授業の準備は絶対必要なものでした。そもそも人前で話すことが苦手だったわたしは、そこで悩むことになったのです。人にものを教えるのってこんなに難しいんだ…。と思った瞬間でした。

しかし、当時の教室長の先生から君センスがあるね。子どもたちからの評判いいよ!という言葉を頂きました。なぜ?という反応しかなかったのですが、やがてそれが分かることになります。

当時、わたしより10歳ほど年上のベテランのアルバイト先生がいました。なぜかその先生にすごく気に入られて、授業の後にお酒を飲みに行ったり、食事に誘ってもらったり、遊びに連れて行ってもらったり、いろいろよくしてもらいました。

そのベテランの先生に、教室長から頂いた言葉の事を聞いてみました。その先生がおっしゃった言葉を今でもよく覚えています。それは、『一生懸命にやってるからだよ!』です。わたしとしては、授業の準備や小テストの準備をしっかりやっておかないと、不安だったからという単純な理由だったのですが、その一生懸命にやっているという姿がよかったのかもしれません。

一生懸命にやっている若者を見ると、応援したくなるものです。当時のわたしは情熱をもって、一生懸命に働いていたという事なのでしょう。

 

 

 

Chapter5 成熟

男主人公を描こう! 男性キャラクターの描き方 - 目の描き方編 - | いちあっぷ
 

26歳で結婚した私には3人の子どもたちに恵まれています。学習塾のアルバイトからそのまま社員になったわたしは、同業者を転々と渡り歩きながら、今では管理職をしています。特に大した仕事はしていません。ごろごろと転がるのがわたしの仕事のようなものですが、一生懸命に頑張るというのがわたしの座右の銘です。

この年齢になると、頑張らなくても何でもできるようになってしまうのです。テクニックでどうとでもなるのです。厄介な仕事も、考え方一つで一瞬で終わることもあります。最近では、これではダメだ…と思う事が多々あります。かつての先輩がわたしに教えてくれた事は何だったのだろうか?

効率的に成果を上げる事だったのか?それとも、熱意をもって仕事をするという意味だったのか…?おそらく、それがわたしの失ってしまった魅力なのでしょう。魅力を取り戻すために、わたしはテクニックを捨てなければならないのだと感じています。

もう一度、泥臭い作業をした方がよいのでしょう。泥臭い作業をすることで、一生懸命になれるのだろうと感じています。一生懸命になることで、わたしは失われた魅力を取り戻すことができるのでしょうか。

 

 

 

Chapter6 果実

 
A3!」のアイデア 250 件 | えーすりー, イラスト, 男の子 イラスト

 

『あなたは人格者だ。』
これは母親からもらった言葉だ。人格者って何だ?と思って、調べたことがあります。今まで報いることができなかった両親への期待に少し、応えることができたという事なのでしょうか。すこし、安心さることができたのかもしれません。

人生を俯瞰的に見るという事が、わたしが生活する上で最も大切にしていることです。わたしの人生を俯瞰的に見てみると、分岐点がいくつかあることが分かります。幼少期の海外転勤、大学生時代のアルバイト経験、結婚、そして管理職を経て。これらの分岐点の選択は自分一人ではどうすることもできなかったものもあります。また、自分で勝ち取ってきたものもあります。

ここから学べることは、自分一人で悩まないこと。自分の力でどうすることも出来なければ、他人に力を貸してもらう事。他人に力を貸してもらうためには、一生懸命努力するという事。一生懸命に頑張っている人は何歳になっても応援したくなるからです。わたしにとっての果実は何なのでしょう。