こんにちは。

1週間かけて持病のめまいが落

ち着いてきたトラミです。

低気圧は苦手です。


今日は久しぶりに読書ノートに

書いた内容の紹介をしたいと思

います。

クーラーなしの真夏は読書もは

かどらず、やっと1冊読めました。

今回は、養老孟司さんと隈研吾

さんの対談です。


これから読もうと思っている方

は、「POINT:本の要点(本の

あらすじ)」までに留めて、そ

の先の「INPORTANT:重要と

思った、印象に残った言葉」の

部分は薄目で見て、ネタバレだ

なと思ったらそれ以上見ないで

くださいね。


ちなみに、一番下には簡単な感

想を書きました。



【日本人はどう住まうべきか】


○養老孟司・隈研吾

○新潮社

○平成28年1月1日発行

○読み始め〜読み終わり

 2021.8.15〜8.24




〜POINT〜

日本人は元来「だましだまし」

生きてきたのに、津波被害を完璧

に予測して対策するなど不可能。

原発問題も土建問題もつまるとこ

ろ戦争のツケ。マイホーム所有が

人生の目標だった時代は終わり、

どこにどう住まうかが自己表現に

なる。震災と津波、高齢化、地域

格差…さまざまな社会問題をふま

え、現代人の幸福を実現する住ま

いのあり方について、解剖学者と

建築家が論じた贅沢対談集。


〜IMPORTANT〜

P6 養老「ともかく現代は『言う

人』が増えて、『それだけ言うな

ら、やってみな』と言われた子供

の頃が懐かしい。


P25 隈「長期的な視点は、今の日

本に最も欠落しているものです。」


P36 隈「今の法律のシステムは、

全国一律の建築基準法ですからね。

地盤の硬さや柔らかさに関係なく、

一律の法規で安全を決定する、と

いうやり方をいまだに続けている。

明治以来150年、一律方式は変わっ

ていない。考えてみればこれも不思

議なことです。」

「震災後すぐは、どうしても議論が

過激なところに行ってしまう。例え

ば市街地は全部、高台に作り直せ、

とか。一律になんとかしろ、という

方向に振れがちなんです。そのこと

に僕は危うさを感じますね。」


P38 養老「2011年の台風12号で和歌

山と奈良の山奥に大きな土砂被害が

出て、100人ほどが亡くなりました。

あの台風で流されたのは、杉と檜の

植林地だったんです。

〜中略〜

なぜ流れたのかと言うと、その急な

斜面に、日本人がまた律儀に、徹底

的に杉と檜を造林していたんですよ。

広葉樹は深く根を張りますが、杉の

木の根は浅いんです。それを全面に

植えた場合、いったん流れ始めると

全部がダーッと流れてしまう。」


P77 養老「コントロールの主体は、

日本の場合は「世間」のような気が

しますね。暗黙の了解ということが

日本では大事なんですよ。これが昔

から非常に厳しくて、だから子供が

運河に落ちたらどうするんだ、みた

いな話になっていくんですね。

〜中略〜

昔は川に落ちるやつってのは酔っ払

いで、ただ笑われただけだったんだ

けどね()。それが笑い話でなくな

っているのが今の時代です。世の中

と僕らとの常識が合わないんですよ

ね。」


P80 養老「現場というのはルールで

動かない。適当にごまかす方が早い

しスムーズにいく。」


P85 隈「本当に向こうが『ともだお

れ』する気持ちになって信頼してく

れれば、こっちだって悪いことは絶

対にできないです。」


P88 養老「日本のものづくりが強い

というのは、現場が強いということ

だったんですよね。今、現場が弱く

なっているから、日本の経済も低迷

している。」

隈「やっぱり大事なことは、現場に

行って、立って、歩き回って分かる

んです。」


P97 養老「農村に嫁が来ないという

問題があるでしょう。それはその土

地の価値を如実に表していると思い

ます。都市計画で忘れられているの

は、女の人の実感ですよ。」

「だから組んでやるべきですよね。

具体的なところは女性にまかせて、

抽象的なところは男にやらせてもい

い、という具合に。」


P98 養老「僕が好きなラオスのルア

ンプラバンって、ヘンな土地なんで

すよ。

〜中略〜

その通りが全部露店というか、お店

になっていて、座って店番をしてい

るのは全部女性。一度見てみたら面

白いですよ。」

隈「男は何をしているんですか。」

養老「男はタバコを吸っている。」

隈「役に立たないということです

ね。」

養老「そうなんだけど、生物的に自

然なんじゃないのかな。ブータンに

行くと、ばあさんと娘が一生懸命や

って、若い男がたんぼ道でうろうろ

していますしね。」


P106 隈「日本人は、いったん固定

された課題の中でやる競争となると、

異常に頑張っちゃう。」


P139 隈「上手に負けていかないと、

最終的にいいものはできない、とい

うことなんです。相手という人間を

知って、相手に合ったやり方をする

ということが、僕の仕事でも一番大

事なんだと思います。単なる建築の

技術ではなくて、人間観察眼みたい

なものが相当必要な職業です。」


P153 隈「経済観念ってすごく大事

なもので、結局、デザインセンスと

いうのは、経済観念そのものなんで

す。お金をいくら使うかという問題

はすべてエネルギー消費とも関連し

ていますし。」


P162 隈「土木屋さんはコンクリート

で作りたがるんですよ。それはコンク

リートが一番、強度の計算をしやすい

からなんです。」

養老「『だましだまし』じゃなくて、

絶対を求めたがるんですね。」


P164 養老「都会で暮らしている人間

は、頭で秩序を作り、秩序を要求しま

すが、それには必ず無秩序が伴うこと

を自覚した方がいい。そのためには、

自分たちが要求しているのは秩序だと

いうことに、まず気が付いてもらわな

いといけない。で、次に、秩序ってそ

んなに望ましいものなのか、というこ

とを考えてもらわなきゃいけない。」


P167 養老「都市においても、コミュ

ニティとは、そうやって自然発生的に

生まれるんだと思いますよ。」


P177 隈「あらかじめリスクを取らな

い人と、負う人とのメンタリティの

違いは、すごく大きいです。」


隈「日本社会だけは、設計者の9割以

上がサラリーマンですからね。そう

いう人が都市を作っていると、退屈

なゴミしかできません。その問題は、

国の将来にとって、すごく大きいで

すよね。」


P179 養老「『だましだまし』という

のは、サラリーマンがもっともでき

ないことだよね。だって、だましだ

ましをやるには現場が必要だから。」


隈「サラリーマンは別名、現場のな

い人です。現場のない人のメンタリ

ティで、震災復興プロジェクトもや

られてしまう、というのは、危険な

ことです。」


P180 養老「年に数ヶ月は別な暮ら

しをするべき。だって、そうしない

と人は変わりませんよ。人を変えて、

考え方を変えてもらわないと、社会

だって変わりません。そういうこと

を意識しないから、津波のような自

然災害でぶっ壊れて、やっとこさ変

わらざるを得ないという悲劇的な状

況になる。」


P181 隈「場所を移すということは

、人間同士のコミュニケーションに

おいても、とても大事なんじゃない

かと。」


養老「やっぱり年に何分の一かは、

まったく違うことをさせるしかない

と。都市労働のように同じことをし

ているから頭が固くなっちゃって、

考え方が硬直しちゃう。」


P182 隈「自分の設計した建物で、

『失敗した』と思っても、そのうち

だんだんよく見えてきますから()

人は悪い環境にも長くいると、容易

に適応しちゃう怖い生き物なんです。」


「世界の中でも、日本人は異常に一

つの場所に張り付いている人たちで

すよ。こんなに休みを取らないで、

同じところにいる人たちって、いな

いです。」


P184 日本人はどう住まうべきか?

隈「どこでだって、どうでも住める

と思っています()。」

養老「そうでしょう!」

隈「日本に住む必要すらないと、僕

は考えています。」


P187 養老「日本人が固定された一

つの住居観にとらわれている限り、

面白い住み方はできないし、震災復

興もおぼつかないということ。じゃ

あ、面白い住み方はどうやったら見

つけられるんですか、と聞かれたら、

僕は『参勤交代です』と一言で答え

ますよ。」




だいぶ長くなってしまいました。

本自体はページ数も少ないなですが、

内容が濃くて、養老先生や隈さんの

パンチある言葉が効いてきて、とて

も面白かったです。

私の夫は脱サラし、ものづくりに関

わる自営業をしているので、考え方

や仕事に対する姿勢など、とても勉

強になりました。

私達夫婦も、一ヶ所に留まっている

のが苦手で、さすらうように住む場

所を変えるのが好きなのですが、日

本に固執することもないよね、とい

うのが養老先生や隈さんと同意見な

ので背中を押された気がしました。

いろんな土地に住んで、いろんな土

地の人と関わって、しなやかに生き

ていきたいです。


読んで頂きありがとうございました。