義母は、肺炎や糖尿病などの既往症がありましたが、足腰は割と丈夫だったと思います。
 
車の免許を持っていませんでしたので、自転車に乗って買い物に行ったり、旅行が好きだったので、義父といろんなところに遊びに行ったと話してくれました。
 
 
しかし、義母は、3年前くらいに、布団の上で尻もちをついて、足の付け根を痛めてしまいました。
 
そのときは、義母は、自分で整形外科に通い、一度は治ったようでしたが、最近になって、また痛み出したらしいのです。
 
 
 
そのころ、私は、かかりつけの内科の通院と、薬の管理をしていましたが、あるとき、薬を入れている引き出しを見ると、見慣れない薬の袋が入っていました。
 
見ると、整形外科から処方された薬でした。
 
義母に聞くと、前に痛かったところが、また痛くなってきて、整形外科に行ってきたそうです。
 
 
その整形外科は、義母の足では行けない距離にあるので、近所の人に車で送ってもらい、帰りはタクシーで帰ってきたとのこと。
 
近所の方にお世話になり、整形外科に行ったのはいいのですが、引き出しには整形外科から処方された薬、机の上には市販の解熱鎮痛剤があり、加えて、お薬カレンダーには私が管理している内科の薬があるのです。
 
(市販の解熱鎮痛剤は、どうしても痛いときに飲んで、薬が効いているうちに、家事を済ませるんだそうです。)
 
 
出処の違う薬を、一度に飲んでいることを、私は、とても怖いと思いました。
 
整形外科におくすり手帳を出していれば、飲み合わせの悪い薬は出ていないと思いますが、痛いからと言って、勝手に市販の解熱鎮痛剤を飲んでしまっていいのか、私には分かりませんが、自分だったら絶対にしないことです。
 
 

ちょうど、その日は、かかりつけの内科に通院する日だったので、足の痛みと薬のことも、先生に聞いてみることにしました。

 

かかりつけの内科へ行き、

 

「3年前に尻もちをついた時の痛みがまた出てきて、整形外科で薬をもらってきたようなのですが」

 

と、おくすり手帳を先生に見せると、

 

「この薬は、○○さんには強い薬なので、この薬は飲まないようにしてください。」

 

と言われてしまいました。

 

そして、弱い薬だけど、きちんと飲み続けることで、ゆっくりと効いてくるという薬が処方され、痛いからといって、解熱鎮痛剤を飲まないこと、整形外科には行ってもいいけど、薬をもらってこないように言われました。

 

 

この先生は、厳しいところがあって、口調が強いときもありましたが、とても面倒見のいい先生でもありました。

 

解熱鎮痛剤を飲まないようにというのは、義母は、もしかしたら守れないかなと思いましたが、義母くらいの年になって、厳しい先生だからといって、他の病院に行くということは考えられませんでしたので、その先生の言うことを聞くしかありません。

 

 

しかし、院外薬局で薬をもらい、義母の家に向かおうとすると、義母が、

 

「今から、整形外科に連れて行って欲しいんだけど。」

 

と、言い出しました。

 

義母は、先ほどの先生の話を聞いていなかったのか、もう忘れてしまったのか、そんなことを言い出したのです。

 

 

私は、さっきの先生の話を、義母に分かりやすくゆっくりと説明したのですが、義母は、

 

「え?そうなの?」

 

といった具合でした。

 

 

義母の家に帰ってきてからも、新しく処方された薬を見せ、もう一度説明をして、お薬カレンダーにセットし、万が一、解熱鎮痛剤を飲んでしまわないように、普段は使っていない戸棚にしまっておいたのですが…。

 

 

次に行った時には、机の上に、解熱鎮痛剤が置いてありました。

 

我慢できずに、飲んでしまったようです。