霧雨に煙る赤いレンガと森の青葉の美しい仙台宮城峡蒸留所を後に、今日の目的地である山形県酒田市へ向かい、国道48号線を走る。

深い緑色の広葉樹に見え隠れする、進行方向左手に流れる広瀬川をちらちら眺めながら「ああ、魚釣りしてえ」しかし外は生憎の雨。

作並温泉を越え(私は今の所温泉の良さが分からない(°Д°))関山トンネルを抜けると其所は山形県東根市。其所からは天童市を目指し国道13号で新庄市まで北上して日本海沿いの港町、酒田市へ。

関山トンネルを抜ける山形県に入ると、宮城県側のまとわり着く様な霧雨が上がり、少し日の差す時間が出て来た。

48号線で宮城県方面へ向かうライダー数人と擦れ違い、ああ、皆、そのまんま進んだら数分後は雨なんだよ…と教えてあげたい衝動に駆られるが、まあ仕方無いですね。

酒田市へ向かう理由は、その町に御年90歳越え、今尚カウンターに立ち、シェイカーを振るバーテンダー、井山計一氏にお会いしたいが為であります。

世界のバーテンダー達が紐解く、バーテンダーカクテルブックには、井山さんが1959年に考案したカクテル、「雪国」がスタンダードとして必ず紹介されている。川端康成の小説「雪国」をイメージして(諸説あります)山形生まれである若き日の井山さんが作ったカクテル。


日本発のカクテルで、世界中何処へ行ってもどの国のバーテンダーでもお客に頼まれたら作れなければならないカクテルはこの「雪国」と「バンブー」だろう。

カクテルそのものの味が美味しく、人気が在るのも長い間カクテルブックに掲載され、世界中のバーテンダーから「スタンダード・カクテル」と称される理由で在りますが、何よりシンプルなレシピ、何処の国でも手に入る一般的な材料から成り立って居るカクテルであるのもとても重要と言えるのです。

数年前に1度、酒田市の井山さんのお店「ケルン」でお会いして、そのお人柄にも惚れてしまった私は、いつかまたお会いしたい…をついに今年の夏にしたのです。見方のひとつに、井山さんは世界的なバーテンダーのお1人と言えますが、全くもってニュートラルなお方であり、「バガボンド」で言えば「柳生石舟斎」みたいな感じです。水みたいな風みたいな人なのです。

イメージ 1



しかし、不定休の「ケルン」訪れたこの日はまんまと御休みでございました…(°Д°)