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梅雨が長引いていますね、今日は太陽が久々に顔を出しています。梅雨明け間近でしょうか?
 
「晴耕雨読」ではありませんが、雨の日はバイクにも乗れないので読書の時間が多く取れます。
 
「波止場日記」エリック・ホッファー(みすず書房) 
 
「山谷崖っぷち日記」 大山 史郎 (角川文庫)  
 
エリック・ホッファーは港湾労働をしながら(大学で教鞭を取っていた時期もあった)11冊の
本を書き上げ、大山 史郎は何度も転職を重ね、東京は山谷のドヤ街のベッドハウス
住み、肉体労働をしながら第9回開高健賞を受賞したひとです。
 
アメリカと日本、年齢も違う両者(エリックは故人)ですが、日々の肉体労働の中でひとを観察し、
冷静な視点、淡々とした文章、鋭い指摘など似ている部分があります。
 
「波止場日記」はその名の通り、日付が付き日記形式の作品で、「山谷・・」の方は、
作者の生い立ちから山谷で労働者になり、その生活振りが簡潔な文章で、きちんとした作品になって
います。 
 
「波止場日記」から印象強い言葉を少し。この日記はエリックが56~57歳の頃のもの。
 
「今日は8時間の労働、楽しい1日。相棒とも気があった。うんざりした日になるのは決まって
仕事では無く、それに伴って生ずる不愉快さである。性急さ、論争、あつれきなどで疲労し、
また気落ちする。5分間口論するより5時間体を動かした方がよい」 
 
ううーん・・・。解る!他にも、
 
「教育は、優しい心を育みはしない」 ☆確かに・・・。受験対策の詰め込み型は特に。 
 
「疲労は休息では消えない」   ☆疲労は何も、肉体だけじゃあないもんな・・・。

「大切なのは、自己を重視し過ぎないこと」  ☆スゴイ事言うなあ・・・。'  
 

かたや大山 史郎の「山谷崖っぷち日記」は多彩な実在したであろう、同氏の仕事仲間のキャラが
濃い。 
 
皆のやりたがらない過酷な仕事を「しかたない」と引き受ける男気の塚本さん。 
 
顔から絶対にマスクを外さない(しかしお喋りの為口だけいつも出している)通称マスクマン。 
 
瓦職人あがりで、男気もあり喧嘩の強い緒方さん。
 
元過激派K氏、宗教団体員T氏、「10年で日本を追い抜いてみせる」が口癖の外国人就労者辛さん。
 
政治談議が大好きな鳶職人、斉藤さん。
 
作者の大山 史郎氏は、これらの人々との係わりの日常生活を淡々と丁寧に描いています。 
 
心の疲労が強くなった時、手軽なエスケープとして本を読みます。