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汚いエンジンルームですが、この排気管はもうかれこれ10年以上前に交換した
「マキシムワークス」のエグゾースト、通称「タコ足」です。
 
何故またこんな、と言うと、先日たまたまお店にマキシムワークスでお仕事をしていた、
という方が来店されて、当店はロードスターのミニカーや、関連書籍も多いので色々思い出話を
していってくれたのです。
 
「ヨシムラ」という日本を代表する二輪のチューニングメーカーがあります。 
 
「マキシムワークス」の社長はその「ヨシムラ」出身のエグゾースト職人だそうです。
 
「ヨシムラ」とは、NHKのプロジェクトXにも出た、「POP吉村」こと故吉村秀雄氏率いる 
技術集団。1978、第1回鈴鹿8時間耐久オートバイレースにおいて、当時欧州で「無敵艦隊」と
言われたホンダワークスの「RCB」を打ち破った話が有名です。4輪もホンダS6やS8は、 
ハイカムやクランク等、チューニングパーツを造っていたそうです。 
 
以前、POP氏(コレは米兵が氏を親しみを込め呼んだ愛称で、ポップとは「オヤジ」みたいな意味だ 
そうです)はクルマやバイクのエンジンでターボに全く興味が無い、とおっしゃっていたのが
印象的でした。航空機技術を学んだ者からすると、1気圧の地上でターボを使うのは、商品戦略が
大きいよ、との事。究極的なチューニング作業から生み出されるそのパワーは「ヨシムラマジック」
「ゴッドハンド」と呼ばれていました。氏の内燃機関へのこだわりが垣間見れる話でした。
  
 
因みにヨシムラは、60年代のS以来4輪のエンジンチューンを92年にユーノス・ロードスターで
再開させるわけです。如何に当時のロードスターが強い影響を業界に与えたかよく解る話です。 
 
(ヨシムラはチューンドエンジンが前提なのか、同社のタコ足は高回転重視の4-1型でしたが、マキ
シムのタコ足は低・中回転重視の4-2-1型なのです。同じ流れを汲む職人同士なのに製品に大きな
違いが出ているのも興味深い所です) 
 
「ブライトニング」等、ヨシムラ出身のロードスターチューナーがおりますが、マキシムワークス
の社長もその一人。製品(エグゾースト)に対する職人的こだわりは「ハンパでは無い」そうです。 
  (ロードスター以外の車種のエグゾーストも製作しています)
 
工場は花園インターの近くにあり、私が当時のディーラー、「三越ワールドモータース・ユーノス
熊谷」の工場長N島さんに、「今度、タコ足換えたいんですけど・・・」と切り出すと、

「マキシムがいいですよ!」「マキシムがいい!!」「っていうか、マキシムしか駄目ッ!!」

と念を押されたされた記憶があります。他のメカニックの方に聞いても、キチンと寸法が出ていて、
ノーマル品と同じ様に取り付けが出来るタコ足は、「マキシムさんのだけですよ!」
とその工作精度のずば抜けた高さを語ってくれました。 
 
その「元マキシム社員」の方によれば、社長以下、職人さん達も努力や経験の他に「センス」
非常に求められるそうで、定時が終わると、先輩職人さんから溶接の指導を受けるそうです。
そして、製品化するエグゾーストを実際に製作出来る職人は、卓越したセンスを持つ選ばれた人間。

多くのレース用エグゾーストを委託され製作する同社は、市販品も全く同じ工法で自社製作、
その時に出来うる全てを製品に落とし込むそうで、完成品は社長自ら全て検品、気に入らない製品は
まるで陶芸家のそれの如く、工業用カッターで切って捨ててしまう!!そうです。 
 
確かに私もマキシムのタコ足に換えた時、2速と3速を使う峠の登りで、一枚厚くなったトルク感を
体感し驚きました。かなり違いがわかるので、1・6ℓ自然吸気のクルマの排気系パーツとしては
異例の事だと思います。 
 
足を固めた、振動の酷い私のロードスターでも10年以上、溶接の割れも見られません。
 
本当の職人さんの技は、時間が経過しても決して色褪せない様です。