「モノサシ」と言うのは、人それぞれの主観、価値観、判断等、思考と行動の基準の話です。
 
「モノサシ」は人それぞれ心の中に持っていて、その「モノサシ」の計り方、使い方が似ている
ヒトに出会うと嬉しい。自分の持ってる「モノサシ」に似た「モノサシ」をスゴイ使い方してる
ヒトに出会ったりすると尊敬してしまう事もあるし、自分も真似してみたくなる。
 
 
自分の中の「モノサシ」・・・を持ってないヒトも居て、私は驚愕する事もあるが、強固過ぎる
「モノサシ」を振り回されるのも、正直疲れる。 
 
私の職業は「バーテンダー」だが、世間一般的には良く、「バーテン」と略して呼ばれ
事が多い。
 
「日本バーテンダー協会」では「バーテン」と言う言葉を職業差別語としている。 
  (因みに私も同協会のスクールの卒業生で、お世話になった)
 
業界に長い彼ら重鎮にとってイメージの悪い言葉らしいが、新参モノの私には特に
「バーテンダー」を侮辱するニュアンスには聞こえない。調べても何か歴史的なモノがある様
でもなく、イメージの問題、という所らしい・・・。 
 
ただし、「バーテン」と言う言葉に愛着があるわけでもなし、嫌がるヒトが居るなら気の毒です、
「バーテンダー」と自分は言う様にしています。 
 
以前、とあるバーへ行った。客は私ひとり、バーテンダーもひとりで、初めてのお店だったが 
お互い、会話を楽しんでいた。この質問をするまでは。(勿論、この時私はタダの務め人であり
酒は飲むのが専門だった) 
 

 
「バーテンさんは、もう何年このお仕事をやってらっしゃるんですか?」 
  
  
 
バーテンダーの顔色が変わり、それまでのフレンドリーな感じは一変、吐き捨てるように 
 
「7年です」 
 
と言い、奥へ引っ込んでしまった。 
 
何か解せないまま、注文も出来ない状態なので会計を済ませ、首を傾げながら帰路についた。
 
 
「井の中の蛙、大海を知らず」
 
と言う諺がある。自分の世界が全て、狭量、などと言う意味で使われる。
 
この場合、私も彼も「井の中の蛙」状態である。 

無知で不躾な発言を、悪気は無いとは言えしてしまった私と、業界内の話を一般のお客にまで
押し付けて、不遜な態度を取るバーテンダー。 
 
まあお互い様ってヤツです。
 
しかし、私は「井の中の蛙、大海を知らず」という諺が好きだ。 

それはこう続くからだ。 
 
「井の中の蛙、大海を知らず。されど空の高さを知る」  
 
井戸に住んでいる蛙は外には出られない。しかし見上げると何やら外にはまだ見ぬ世界が
拡がっている。それが「空」という概念だ。 
 
昔、地上に居ながらに「地球は丸くて太陽の周りを回っている」 と地動説を唱えた男の様に、
蛙だって井戸の底からも、空の高さを知る事ができる、蛙が心の眼を開きさえすれば。
 
「されど空の高さを知る」 
 
今居る場所は狭いけれど、そんな大きいココロの「モノサシ」を持つ。 
 
いいですね~。考えさせられます・・・。 
 
 
追伸「空の高さ」の部分は「空の青さ」「空の深さ」とするものもあります。
   その中で私は「高さ」が一番好きなので・・・。