イニシエーション・ラブ | 読書の記録

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読後の感想を簡単にまとめたもの。個人的な読書履歴。

職場の方に勧められて、「イニシエーション・ラブ」を読んでみました。

題名と表紙を見て、ラブストーリーだと思っていましたが、実は最後にどんでん返しがあるとのこと。叙述トリックかな~と思いながら、早速購入しました。

 

裏表紙を見ると、ラスト二行がカギとのこと。ワクワクしながら読み始めました。

 

この話は全体がsideAとsideBに分かれていて、Aで大学生だった鈴木が、Bでは社会人になっています。でも、Aでは内向的な性格だった彼が、Bでは優秀で攻撃的な性格に変化しています。

・・・・・・あれ?

これもしかしたら、別人なのかな? と、普通に思ってしまいました。

 

でも、ラスト二行がカギなので、まさかこんなに簡単なトリックなはずはないと考え、そのまま読み進めます。

 

そして、恋人のミヤコと一緒に両親と食事をとるのですが、どうも思った通りAとBでは鈴木は別人のようです。大学の学部も、ヒロインのマユコとの思い出も違います。だよね~と思いながら、それでも期待を込めて最後の二行を見ると、Aでは「夕樹」だった鈴木の名前が、「辰也」になってました。

 

ん?

 

これで終わり?

 

ページを見直しましたが、どうもこの叙述トリックはAとBで鈴木が入れ替わっているということのようです。あらら、それならもうだいぶ前に気づいちゃったよ。って感じで、衝撃も何もなく読了してしまいました。

 

確かに、この二人の人物を矛盾なくかき分けているところや、読者が二人を同一人物だと解釈してしまう記述は在りますが、それでもヒントをちりばめているのは、さすがだと感じました。トリックが何かというよりも、どんなふうに二人のニアミスが起きているか見つける方が面白いかと思います。

 

ただ、この本を読んでみて思ったのですが、人間って結構いいようにミスリードされてしまうだなと。会話なんかでも、相手の言っていることを理解するために、矛盾を勝手に埋め合わせて理解してしまっているところがあるなと感じさせられました。

まあ、批判ばかりしていてもめんどくさいと思いますが・・・・・・。

 

ちょっと明日は誰かにミスリードを仕掛けてみようかと思えた本でした。