読書の記録

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読後の感想を簡単にまとめたもの。個人的な読書履歴。

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職場の方に勧められて、「イニシエーション・ラブ」を読んでみました。

題名と表紙を見て、ラブストーリーだと思っていましたが、実は最後にどんでん返しがあるとのこと。叙述トリックかな~と思いながら、早速購入しました。

 

裏表紙を見ると、ラスト二行がカギとのこと。ワクワクしながら読み始めました。

 

この話は全体がsideAとsideBに分かれていて、Aで大学生だった鈴木が、Bでは社会人になっています。でも、Aでは内向的な性格だった彼が、Bでは優秀で攻撃的な性格に変化しています。

・・・・・・あれ?

これもしかしたら、別人なのかな? と、普通に思ってしまいました。

 

でも、ラスト二行がカギなので、まさかこんなに簡単なトリックなはずはないと考え、そのまま読み進めます。

 

そして、恋人のミヤコと一緒に両親と食事をとるのですが、どうも思った通りAとBでは鈴木は別人のようです。大学の学部も、ヒロインのマユコとの思い出も違います。だよね~と思いながら、それでも期待を込めて最後の二行を見ると、Aでは「夕樹」だった鈴木の名前が、「辰也」になってました。

 

ん?

 

これで終わり?

 

ページを見直しましたが、どうもこの叙述トリックはAとBで鈴木が入れ替わっているということのようです。あらら、それならもうだいぶ前に気づいちゃったよ。って感じで、衝撃も何もなく読了してしまいました。

 

確かに、この二人の人物を矛盾なくかき分けているところや、読者が二人を同一人物だと解釈してしまう記述は在りますが、それでもヒントをちりばめているのは、さすがだと感じました。トリックが何かというよりも、どんなふうに二人のニアミスが起きているか見つける方が面白いかと思います。

 

ただ、この本を読んでみて思ったのですが、人間って結構いいようにミスリードされてしまうだなと。会話なんかでも、相手の言っていることを理解するために、矛盾を勝手に埋め合わせて理解してしまっているところがあるなと感じさせられました。

まあ、批判ばかりしていてもめんどくさいと思いますが・・・・・・。

 

ちょっと明日は誰かにミスリードを仕掛けてみようかと思えた本でした。

 

 

中国人の劉先生が2008年に書かれたSF小説。

本屋さんの紹介コーナーで絶賛のコメントを見て購入を決意。

SF小説は久しぶりだったので、ワクワクしながら読みました。

 

まず、中国の文化大革命時代から物語がスタートしていきます。小説でこの時代の狂気を中国の方が書けるようになったことに、まず驚き。そして、中心人物も状況を把握できていない中、少しずつ変化していく状況に、ついつい続きが気になってページをめくってしまいます。本書の三分の一ほど読み進めた時点で、この本の面白さはここにあると理解しました。

 

推理小説を読むときのように、なぞを少しずつ読み解いていく面白さ。不可解な状況の理由を知りたいと思ってあっという間に時間が過ぎていきます。

 

すぐに読んだページは半分を超え、物語は佳境に入っていきます。

 

ただ、ここにきて面白さが失速。

 

少し具体的に書かせていただくと、三体世界(宇宙人)から地球の科学文明を進歩させないために、二つの陽子が送り込まれ、それがあらゆる不可解が引き起こされていたとのこと。

二つの陽子は知性を持ち、地球内を瞬間的に移動することが可能なため、あらゆるところに遍在することができ、地球人を監視ししたり奇跡としか思えないことを引き起こせるという設定。

(例えば、基礎理論分野の学者に不可解な結果を見せて、物理学はないと感じさせて自殺に追い込んだり。三体世界と戦争を可能にする研究をしている科学者の視界に、タイムリミットのような時間表示を出現させたり。地球で起きていることを三体世界で観察できたり)

 

ん~、確かにSF小説ですから突拍子もない設定が入っていてもいいんですけど。なんとなく、これまでは科学を主体としたハードなお話でしたから、陽子二つであらゆることが可能です、とか急に言われてもついていけませんでした。

 

でも、この三体。まだ第一部に過ぎず、第三部まであるとのこと。

最後まで読むと、その設定を十分に納得させてくれるものかもしれません。