古来“馬方・船方・土方”は“天下の三方”等と蔑まれてきた。

荒っぽくって、がさつな職業の故である。

これが昨今、運転手・船員・土木建築屋と呼ばれる。

昔の馬方は、馬で人、物を運んだが、駕篭でも運んだ。

“駕籠かき”も運転手の部類だ。

山本一力の“お神酒徳利”は、江戸は深川の駕籠かき二人の物語。

火消しあがりの新太郎と相撲取り崩れ、尚平のお話。

駕籠かきは“雲助”と言う、悪いイメージだが、この二人は違う。

職人気質で正義の男。

弱者の味方!

下町人情、満載の痛快時代劇を楽しく読んだ。

そして今回読んだのは、舟方を扱った“くじら組”

土佐の国・室戸岬で威勢を誇った鯨組の物語。

仲間の命を奪った巨大マッコウクジラとの戦い。

幕末に現れた異国船“黒船”と巨大鯨(別名=黒船)との絡み。

船乗りの世界は、厳しい掟のある男の世界。

いい加減を許さない海は、常に命がけを求められる。

それ故に、全てが厳しいのだろう。

反面、飲む時は、桁外れの大酒盛りである。

 山本一力は未だ、土方の世界を描いていない。

土方の作品で印象に残るのは、

古くは三船敏朗主演の“どぶろくの辰”

近くは“黒部の太陽”位で、土方の作品は少ない。

この世界も、掘り出せば限りない男のロマンが沢山ある。

前記の、馬方・舟方に比べ、地味な世界なのだろうか?

この三方、昔は肉体労働で貧しい人達の代名詞でもあった。

しかし、そこに展開される人間模様には人の情けが絡みつく。

物、金崇拝の昨今より、気持ちがいい。

この時代の方が、はるかに心豊かであったのではないか?

         土方を誇りに思う! 土建屋・寅次郎
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