そこいらにある路地裏酒場の裏ではない。

我が町白鳥の唯一の造り酒屋の裏である。

朝夕の散歩道のそばに、その酒蔵がある。

建物の周りは、杉の木などが無造作に生えて荒れていた。

それがここ数日前より、庭師が入り整備を始めた。

雑木は切り倒され、建物と基礎の石積が現れた。

歴史を感じさせる風景が一気に出現。

この酒屋、屋号を“布屋”と称する。

元文5年(1740年)創業の原酒造である。

今から275年前、8代将軍吉宗の時代。

その時に、石は積まれ、蔵は建てられた。

現在の当主は12代目らしい。

先祖は古く、平安時代にさかのぼる。

藤原姓を名乗った先祖は源氏に追われた。

京→近江→郡上→穴馬(福井県大野郡和泉村)と逃げた。

近江の頃、縁起の良いと言われる白い布を手に入れる。

これをまとって身を隠したとも。

当時、未開の地、穴馬に落ち着き、その場所を市布と命名。

素姓を隠す為、藤原姓を原姓に変えている。

そこから白鳥に出て、原酒造を立ち上げた。

縁起の良い白布に因んで、屋号を“布屋”にした由。

藤原姓から数えると39代目と言うから古い。

福井大学にある市布村氏神由来書と言うのがあるとか。

白鳥は明治の大火で歴史が灰になっている。

それ以前の故事来歴は外に求めるしかない。

現在の母屋は大火後の大正12年に建てられている。

裏の蔵は消失を免れ、創業当時のモノと言われる。

この石積が眼前に現れなければ、調べる事はなかった。

これだけ解って眺めると、当時の息吹が感じられる。

我が散歩道にはまだまだ歴史が眠っている。

             起こそう! 寅次郎
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