昨年7月9日、彼は食道癌、脳内出血で58歳の命を止めた。

その3日後に「70ミリシーベルト」をブログに書いた。

政府、東電、マスコミに対し憤怒の思いで。

倒れる10日前、作家・門田隆将は吉田所長にインタビューしている。

それは奇跡的で、神の指示とも思える。

今回、朝日新聞の謝罪で、吉田調書が明るみに出て来た。

この本と、全て同じである。

吉田所長は言う。

政府や東電の言う事を聞いていたら、東北は廃墟だった、と。

TVでは、海水注入を「止めろ」と言うかもしれない。

だが「止めるな!」と現場員に指示している。

現場を熟知した男の真骨頂だ!

吉田指揮官には、過酷の中で、戦う敵が多すぎた。

現場以外に、バカな政府や東電幹部との戦いもあった。

安全な後方に居て、頓珍漢な能書き垂れるじゃねぇっ!

「言うなら、現場に来い!」だ。

世の中の大半はこんなもんだろう。

吉田所長は、仏門に帰依していたと聞く。

人の死生観もそこで養われていたかもしれない。

「注水を止めるな!」は技術者としての冷静な判断だろう。

だが、そこに纏わる、様々な指示言動は無視もできない。

お釈迦様は「嘘も方便」と語った。

仏教徒・吉田は迷うことなく嘘をついた。

これにより、東北全土を救った。

この嘘を嘘と知りつつ、従った現場の人達。

そこには、強い信頼関係があったからだ。

その人達の後日談は

あの時「吉田所長でなければ、全滅だっただろう」と。

最後まで残った“フクシマ・フィフテー”は日本の誇りだ!

そして、吉田所長は熱心な阪神タイガースフアンだった事も・・・。

吉田所長のご冥福と、フィフテーの今後、発病無きを祈ります。

           方便が多すぎる 寅次郎
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