あっさり逝っちまった・・・。
酒は弱かったが、付き合いのいい男だった。
中学を終え、岐阜の畳屋に奉公した。畳職人を目指して。
その頃は岐阜、一宮方面へ就職する人が多く居た。
寅は岐阜に祖父母が居たお陰で、高校に行けた。
15歳で故郷を離れた我々は、岐阜でよく集まった。
男では、ポンプ屋の黒ちゃん、肉屋の徹、うどん屋の貞公。
女性は、紡織関係に多くが就職した。
岐阜駅前のうどん屋の貞公の住まいが、溜まり場だった。
腹が減るとここに行き、時には酒も飲んだ。
金もないのに・・・貞公が振舞ってくれたのだろうか?
徹は歌手になりたいと、一番ませていた。
辰公は職人を目指して、厳しい修行時代だったせいかおとなしかった。
それでも、きっちり付き合いはして、我々の模範だった。
そんな時代が3年過ぎて、俺は東京へ出た。
それを機に、集まることはなくなったようだ。
辰公も年季奉公があけて、郷里に帰り畳屋を開業。
貞公も、うどん屋の店を任されたやに聞いたが・・・。
今はパーキンソン病に苦しんでいるようだ。
おませの徹は早くから、行方不明である。
ポンプ屋の黒ちゃんは、昨年、早々と逝っちまった。
反面その時、集まっていた女性人は全部健在だ!
男は何と弱いのだろう?
辰公の趣味は選挙だった。
どんな選挙でも、辰公に聞けば、細かい情報が得られた。
口数は少ないが、貴重な存在だった。
デスマスクは何とも安らかだった。
斎場で最後の扉が閉まるとき、息子さんが凛とした声で
「親父ありがとう!」と叫び、後は涙にくれた。
いい息子に育てた!
・・・旅の衣をととのへよ・・・。
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